Last Update : Feb 28, 2014

地図読みとベアリング・GPS

                 新保 栄司


 構えると撮ろうとする山の名前まで表示されるカメラが出現している昨今です。今やホワイトアウトとなることが頻繁な雪山においてはGPSは必需品となったのではないでしょうか。

 最近の当会山行に於いて初心者の参加が少なかった故か、地図読み等のラーニングの機会も久しく無かった気がします。リハビリ中で山に行けない時間を使い、小生なりの整理をしてみました。

A.地図について

T.地図

1. 登山地図・・・昭文杜、日地出版等から出版されている。ピークや沢の名前、登山コース、標準タイム等が書いてあるので便利だが、細かい地形は読みにくい。

2. 地形図・・・・国土地理院から出版されている。登山地図等はこれをもとにして作られている。20万分の1、5万分の1、2万5千分の1等があるが、登山・ハイキングには2万5千分の1図を使うことが多い。

3. フリーソフト「TrekkingMapEditor」バーション1.4(以降については使い勝手が異なる)はA4印刷に特化して使い勝手が良い。

U.地形を読む

1.ピーク・・・・・・・・・・等高線が丸くなっている。

2.尾根 ・・・・・・・・・・等高線がピークから外に(低い方に)膨らんでいる。

3.谷  ・・・・・・・・・・等高線がピークに向かって(高い方)食い込んでいる。

4.勾配 ・・・・・・・・・・等高線の間隔が狭ければ急勾配。

斜面の傾斜角度を求める(2万5千地形図から)

     太い方の等高線(主計曲線)の間隔を測る 斜度θがわかる。

    【 L寸法 = 50m 毎の太い等高線(主計曲線)の距離間隔 mm 】

    【 h = 50m x 1/25000 = 2mm】【斜面の傾斜角度 θ deg 】

     上記の関係式: h = L * tan θ により(ピタゴラスの定理)

    傾斜角度θ vs  L ← 1/25000地図上での主計曲線の間隔 mm

< mm  角度

1.0  63.4
1.5  53.1
2.0  45.0
2.5  38.7
3.0  33.7
3.5  29.7
4.0  26.6
4.5  24.0
5.0  21.8   >

5.崖、岩、ガレ、構造物等・・凡例を見ること。

皿.三角点について

地図をつくる測量の基準となる点が三角点で、原点は港区麻布台。

一等三角点本点 約45q間隔で設置されている。全国で   347点

一等三角点補点 約25q   〃        〃    622点

二等三角点   約 8q   〃        〃   5056点

三等三角点   約 4q   〃        〃   32770点

四等三角点   約1.5q   〃        〃 約49700点

高さは水平距離と仰角から計算する。基準になる水準点の原点は、千代田区永田町。

W.磁北線について

地球上の磁力の分布は複雑で、磁石はその地点における磁力線の方向を指す。磁石のN極が指す方向を磁北という。関東地方では磁北は約7度西寄りとなっている。この角度(西偏角という)は測量の場所によって異なる。磁石を使って現在地や進む方向の確認等を行うには、地図上に磁北を示す線(磁北線)を記入しておく必要がある。2万5千地形図に磁北線を引くには、地図上辺に西偏角に応じて右側から下表のXの値をとり、地図右下隅とこれを結べばよい。この線と平行に4cm間隔で線を引くと、2万5千図では線の間隔が1qになり、歩く距離の見当がつくので便利である。



「TrekkingMapEditor」の場合は設定で500m又は1km等間隔に自動的に線を入れられるので2万5千地形図以外の出力図の場合、線を幾らで入れたか地図に表示しておくこと。

V.磁石(シルバコンパス)の使い方(体の前に正置きする面が丸くないものがベスト)

1.現在地の求め方

(1)地図を読む=無雪期

@ 磁石を体の正面に構え目標物に正対し(正置き)、リングを回してリングの矢印を磁針の方向と一致させる。

A 地図とコンパスを使い、地図を回して、記入してある磁北線と磁針の方向を一致させる。 (磁石のリングは動かしてはいけない。)

B コンパスの左端を@の目標物に置き、左端を中心にしてコンパスを回して、リングの矢印と磁針の方向を一致させれば、現在地はコンパスの左長辺の延長線上にある。

C 別の目標を基に、@〜Bの操作をし、2つの線の交点が現在地である。

D 視界が見えない等の状態時、現在地が分からなくなってからでは遅く、特に尾根の分岐等常に地図の確認が必要。

(2)目標物が見えないとき/地図で地形を確認し、ポイントを設置=積雪期

ガス、吹雪等で見通しがきかない事が前提。あらかじめ作成している「ホアイトアウトナビケション」表でポイントを確認して、高度で現在地を判断(高度の確認は一般的には時計に付いている高度計で行う事が多いY.の6ベアリング表)。ポイントの設置位置が重要。

2.進む方向の求め方

@ 地図上で、現在地から進むべき方向に、コンパスの左長辺をあてる。

Aコンパスを動かさずリングを回して、地図の磁北線とリングの矢印を一致させる。

Bコンパスを体の正面に構え、体を回してリングの矢印と磁針を一致させれば、体が向いている方向が、進むべき方向である。

CY.の6ベアリング表がある場合、表で現在地を確認すれば地図を見なくても時計等のコンパスで、ベアリングを行う。無雪期の場合は、登山道、尾根道等があるので不適切。

3.山座(山名)同定

@ 磁石を正面に構えて山の方に向き、リングを回して矢印と磁針を一致させる。

A 地図上で現在地に磁石の長辺をあて、リングを動かさずに磁石を回して、矢印と磁北線を一致させれば、長辺の延長線上にある山が、見えている山である。

Y. その他

1. 運動の強度は脈拍で見当を付ける。最大脈拍数は、220−年齢とされており、適度な運動の目安は、脈拍が最大脈拍数の60〜70%とされている。登山中においても80%程度に抑えた方がよいと思われる。脈拍数は、立ち止まった直後に15秒間数え4倍する。

2. 気温は、高度100m上がるごとに約0.7度下がる。又、風速1mごとに体感温度は約1度(冬は約3度)下がるといわれている。

3. 乾燥した雪の場合、雨量10oは積雪約100oになる。

4. バテないためには、疲れすぎないうちに小休止し、水分とエネルギーを補給するのがよい。エネルギー源は糖質(糖分、炭水化物)がよい。水分の補給も大切である。

5.GPSを利用すれば、一定の制約はあるが、高い精度で現在地を確認することができる。が、故障等もあるので地図とコンパスは必要。

フリーソフトのカシミールでデーター「gdb」ファイルを読み込みし、「gpx」ファイルへ出力する、それをガーミンのフリーソフト「BaseCamp」(現在バ−ジョン4.25 Mac版も有り)で読み込み、加工してGPSに組み込むのが一般的。

PCでGPSを読むとハードデスクとして認識するので、Garminフォルダーの中のGPXフォルダーに上記「「gpx」ファイルへ出力」したファイルを入れると、読み込んでくれる。(注意 この場合は自己責任になります、システムファイルはいじらない事)

6.登下降予想時間(一応の目安として使用する 自分のエビデンスで冬バージョン等計算式を手直ししていく)

@ 高度差を出すこと

A 距離を出すこと 125万分の1→1cmが125m 4cmが500m、2万5千分の1→1cmが250m 4cmが1km

B 登り時間の予測 高度と距離で出す。高度は高度差÷50m 距離は距離÷500m 合計を8で÷、それに60分をかけて予想「分」の値を出す。尚下りは登りの値に0.65をかけて出す。

7.ベアリング表

山行前にポイントとベアリング(方位)の「ホアイトアウトナビケション」表を作成する。表の中には@ポイントの目標物名A標高B次のポイントまでの標高差、ベアリング(方向)、バックベアリング、距離C登下降時間予想(一応の目安として使用することにより計算式をパーソナリティに手直ししていく)を記載。


 
                   


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