Last Update : Jul 13, 1998

登高ペース参考データ (シールで新雪時など)
         …過去のうろ覚え
                 小森宮 秀昭


 シールで登る時のペースを考える上での参考資料にすべく、過去の記憶から 一応、参考データとしてまとめてみました。前提条件としては、斜面は傾斜が 20度〜35度 位を想定しています。傾斜がゆるやかだったり平地に近い場合に は、標高差というより水平移動距離のデータとした方が正確なのでしょうが、 そのようなデータの取り方をしていなかったので、これに関しては、おおよそ の参考値をあげておきます。勿論これらのデータは条件次第で変動するものな ので、あくまでも参考データにしかならないという宿命のものです。要は各人 がその時々の山行の条件と所要時間を自分で記録し自分のデータとすることで 本当に役に立つデータになるでしょう。
 
《堅雪の時》
 4月以降によく有るような堅雪の場合にはスキーが潜らず、1人でもペース を保つことが出来るため(単独行を薦める訳では有りませんので念のため)、 1時間で標高差300mから、時には400m程度まで可能なことも有るかも 知れません。平地に近い場合には、水平移動距離でおおよそ2km毎時位だっ たと記憶しています。テレマークの歩行時にはもっと速いと思っていたのです が、私だけかも知れませんが、靴擦れしてしまうせいか山スキーにくらべて特 に速いということは自分自身ではありませんでした。これも平地でヘビークロ カンのような用具を使えば、全く違う(速い)ペースが可能かも知れません。
《新雪の時》
 スキーを履いてもひざから上まで、場合によっては腰まで潜るような状況で は、1人で一日中登り続けるのは非常に困難であることは一度でもこんな状況 でラッセルをしたことの有る人ならわかると思います。このような状況では、 雪の深さにもよりますが、ある程度ラッセルの力の有るメンバーが3〜4人で パーティを組んで、疲れないうちに頻繁に交替しても1時間あたりの標高差で 100m登るのがやっとという時もあり、雪の(潜る)深さによっては1時間 で標高差200mいける時も有るといった調子で条件により非常にばらつきが 大きいのですが、何れにしろ堅雪の時とは全くペースが違ってしまうものだと いうことをしっかり認識しておく必要が有ります。新雪のラッセル時には例え 平地のラッセルでもかなりの所要時間を見込まなければならないものですが、 この場合のデータが殆ど無いので確かなことは言えません。それでも堅雪時の 2倍以上の時間を見込む必要が有るでしょう。当然下りの場合には労力的には 楽にはなりますが、新雪が深い場合には傾斜25度でも先頭は下りのラッセルだ ったというようなことが起りますので注意が必要です。
 一般的にはこのような状況は大体12月から2月一杯は可能性が有ると見た 方が良いでしょう。勿論地形やその時々の天候などにより、例えば尾根と沢筋 の違いや斜面の向き、風向などにより積雪の状況は大幅に違って来ることは言 うまでも有りません。
《不確定要素の例》
 上にあげたようなペースは一般的なデータと言うよりは、比較的トラブルが 無くスムーズに事が運んだ状態を想定しています。これらの登高ペースに加え て、例えば初心者が多い場合の山スキーに良くある用具のトラブル(シールト ラブル=粘着しない、スキーやシールの凍結、締具の調整不良による誤脱、破 損、などなど数え上げたらきりが無い程)、パーティ行動の問題、やぶの処理、 危険地帯の通過など、時間を費やす原因は、きりが無い程考えられます。

 これら計算外の問題は事前の準備をしっかりすることで無くすことが出来る ものから、例えば自然条件の変化で避けることの出来ないものまで有り、山ス キーの楽しさというのはこれらの変化に対応して行く面白さにあると言っても 良いかも知れません。もっとも山に入ってから無用な時間を費やすことは無駄 というより危険を呼ぶことにもなりかねないので、重ねて言いますが事前の準 備はしっかりということに尽きるようです。
《山行計画(ルート)のトレース》
 ここでは山行計画のトレース(頭の中での山行のシミュレーションと言って も良い)について若干触れてみたいと思います。その山行に参加するメンバー は、その山行計画について事前にルートをトレースしておく必要があると思い ます。そうすることでその山行に対して積極的に参加する意志が生れ、計画を しっかり把握することが出来るようになるでしょう。ひいては事故や遭難防止 にも役に立つものと考えます。まえおきはこの位にして、
 《ルートのトレース》
 最低限、1/25000 地形図でルートを確認することが必要でしょう。少し慣れ てくれば、その山行計画の注意点が見えて来るようになります。どこを登って、 どこから下りて来るのか。エスケープルートは有るのか。危険地帯は無いのか (険しい地形や雪崩の可能性のある斜面など)。沢を渡る場合、その時期には 雪で埋もれているのかどうか。渡渉する場合に上流域の大きさや広さにより、 水量は多そうなのか少なそうなのか。などなど....
 また一日の行動計画が自分の体力に相応しているものなのかは、一日に登る 標高差の合計値と滑降(下降?)標高差の合計値、それに時期を考え合わせる と、慣れてくれば、かなり見当が付くようになるでしょう。
 そのルートがルートガイドなどの情報で得られる場合には、これらも積極的 に参照すべきなのは言うまでもありません。地形図だけでは得られない情報を これらで補足することが出来るでしょう。
                   


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