Last Update : 2018/12/02 戻る

立山

2018/11/23(金)〜24(土)
メンバー:吉岡

11/23(金) 曇りのち晴れ(室堂〜浄土山(周辺)〜雷鳥荘)

 マイナス24℃のラインが南下する。500hpaの高層天気図は立山からの招待状に見えた。
="扇沢"   ="扇沢"
来年、電気バスとなり「鉄道駅」ではなくなってしまう
  玄関口の扇沢駅は雪。立ち往生するクルマは門前払いを強いられている。この時期、ここは冬タイヤ装着が 身だしなみだと思う。
  11月末で関電トロリーバスが54年の任務を終え退役するらしい。記念品を受取り出発を待っていると、構内アナウンスが室堂の気温マイナス12℃と説明した。
「おおっ」
ファットスキーヤー達から笑顔がこぼれていた。

11:30 2433m 室堂
風はなくしずかな室堂平
="室堂平"  早目の昼食を構内でとり登高準備を整えた。室堂平をシールで歩行していく。足跡ひとつないまっさらな雪原を切り開く営みは冒険心を掻き立てた。
 夏道をおおきくはずれ浄土山を巻くようにすすんでいく。降雪直後、フカフカ、早く滑りたい。悶々としていると2人組のスキーヤーが粉をまきあげて滑り下りてきた。
「今日は最高ですね」と声をかける。
「気持ちいいですよ!」
日帰りで一の越に登り、帰る途中らしい。はやる気持ちが加速した。滑りたい。だから登らなければならない。自問自答を繰り返す。不連続だがおいしそうな斜面がつぎつぎと現れた。

13:35 2691m (36°34N 、137°36E)
足慣らしの小斜面 ="室堂斜面"
 ガスが出てきた。誰もいない。もうこの辺でシールを外そう。
バシッ!
ビンディングを踏み込むと雪が舞い上がる。鮮度の高い雪は想像どうり板を浮かしてくれた。
  小さい斜面の連続だが足慣らしにはちょうどよかった。サラサラの雪が心地よい。
シーズンが幕を開けた。

15:10  2375m 雷鳥荘
温泉、豪華な夕食、朝食はバイキング。 9,600円(税込)
="雷鳥荘"  ="雷鳥荘"  モンベルカードをクルマに置いてきたのは痛恨であった。宿泊費が5%引になるとフロントで説明を受けたからだ。気落ちせず温泉で冷えた体を温めよう。談話室はスキーヤー、ボーダー、登山者、スノーシューツアーの方々、そしてガイドさんで賑やかであった。山や道具の話をつまみに飲んでいるとあっという間に就寝時間になっていた。

11/24(土) 快晴(雷鳥荘〜雷鳥平〜別山乗越〜雷鳥沢〜室堂)

6:50 雷鳥荘
雷鳥荘からキャンプ場、上部は別山乗越
="  朝食バイキングでお腹いっぱいにし宿をでた。昨夜、談笑したガイドさんとスノーシューツアーの人々が準備運動をしている。軽く会釈し、滑走準備にはいる。宿の目の前はいきなりドロップポイントでもある。ツアー客の視線が私に注目しているのがわかる。やはりギャラリーの期待に応えなくてはならない。
フォー!
 本日の一本目。すでにトレースは何本もあったが雪が軽くて柔らかい。気持ちよい滑走であった。だが、キャンプ場前で減速したのが失敗。テント場をノルディックで進んでいく。

7:15 2261m 雷鳥平 
="雷鳥平"  キャンプ場を越え称名川の橋をわたったところでシールを装着した。経験の絶対数が不足しているので登りターンの課題を意識して高度をあげていくことをこころに決めていた。
 富士の折立付近から朝日があがる。そして今日の舞台を照らしはじめた。“THE DAY”。ブルーが美しい。本物の「BS4K、BS8K」である。


雪量豊富な雷鳥沢 ブルーが美しい
="雷鳥沢"  どこを滑ろうか。バンク状になっているところにロックオンした。帰路が楽しみである。
 立ち休憩していると後方から金髪の美女が登ってきた。外国人、単独行の山スキーヤ―である。
「こんにちは」
「Konnichiwa!」
これ以上対話がすすまない。どこの国の人なんだろう。華麗にキックターンを決めていた。語学力に課題を残すこととなった。

9:40 2753m 別山乗越
別山乗越からの剱岳。風が暴れていた。
="剱岳"  強風、突風であった。剱が「これ以上おれに近寄るな」と言わんばかりの暴れぶりである。剱御前小舎の陰で暫く凌ぐ。ここは地獄と天国の境目なのだろうか。風が収まり雷鳥坂方面にもどると先行するスキーヤーがハイマツで足をとられたかバランスを崩し板を外していた。
 風が雪を散らし、ハイマツの頭がよく見える。近くには岩も隠れていそうだ。障害物の切れ目まで少しだけ高度を落としてから滑走しよう。

10:44 2711m(36°35N、137°36E)
ドロップイン。 最大斜度は35°くらいか。視界最高。浮く、走る、滑る、そしてスピードが乗る。
山スキーは大人を少年の日に戻してくれる
="室堂" フォー!フォー!
往路にターゲットにしたフワフワの尾根バンクに飛び込む。
フォーッ・・・あっ深い!
天然のアトラクションは大人を少年の日に戻してくれた。
ボトム付近まできて自分の刻んだトラックと青空を見上げた。
贅沢な時間を過ごさせてもらった家族にまず「ありがとう」である。

13:00 2433m 室堂
ターミナルに入る前、ヘルメットと帽子を脱いで立山に深く一礼した。
ありがとうございました。また来ますね。
(文、写真:吉岡)

 


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