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ラ・ネージュ山スキー記録集III 


  発行日 1989年12月25日

ニュージーランド ヘリスキー         
    ワナカ、マウントクック     

                     1988年8月27日〜9月4日 
  M:L遠山友樹、寺井功(アウトドアクラブ)、田村和彦(RSSA)、小島利毅 


 入会後の初山行が雪崩の蓮華温泉で、それ以来おとなしくしておりましたが、遠山氏の企画に乗って一気にニュージーランドへ。最高の天気に恵まれて、私は初めての海外旅行でもあり、大きな満足感と思い出が残りました。 


8月27日(土) 晴れ
 大阪組の皆さんと成田で合流し20:30フィジー島経由オークランド行きで出発。クライストチャーチ直行便は週によっては飛んでいないので、現地入りまで二日がかりとなる。航空運賃の往復21万は総額費用の約半分を占めて遠山氏はカナダなどと比べ割高感ありとの事。エアニュージーランドの機内サービスはエコノミークラスでもかなり良くて田村氏はビールとワインを十二分に楽しんだようだ。

8月28日(日) 晴れ
 オークランドに正午着。時差は+3時間。冬とは思えない暖かさで遠山氏は出発時の短パンのままだった。国内線に乗換えクライストチャーチに夕方着くと今度は流石に冬の空気で、東京から札幌へといった感じだ。
 日本から予約してあったレンタカーに何人分の板を積むのかと聞かれたが、ちょっと戸惑う。”How many pair of skies...”が”パイア”に聞こえる。これがキウイ イングリッシュで、基本的には英国風でも、8はアイト、OKはオーカイ、todayはトゥダイとなる。馴れるまでは苦労した。
 もらった地図にはクライストチャーチ市内にモテルの記号が多くあり、とりあえず行ってみると二軒目が4人で$77.00($1.00=約87円)なので即決定。食器、冷蔵庫、調理用具も全て整ったダイニングとツイン2部屋の間取りである。翌日解ったのだが、モテルやモーターロッジなどが発達して家族や仲間同志の利用が盛んなようだ。
キャンピングカーとも良くすれちがった。週末はほとんどの店が休みと聞いていたが、食料、雑貨については心配無かった。(自動販売機でいつでも酒が買えるような国は日本だけ。NZでは11時からでした。)  

8月29日(月) 晴れのち雨
 うす暗い朝7時にクライストチャーチの大聖堂を見物し、市内一周の(正しくは道に迷った)あとでMt.Cookに向けて出発。ドライバーは寺井氏一人で申し訳なかったけれど、広大な空と大地のなかを100Km/h以上出して進む気分はいい。羊を見かけたり、テカポ湖、プカキ湖と通過する度に記念撮影しながら行く。風は一日中強く、夕方ハミテージ(Mt.Cook登山/観光のベース)に到着した時には冷たい雨となる。明日は望み薄でも氷河スキーの予約を一応して、シャレー(自炊の小屋)に入る。ここより北のタスマン氷河と南のヘリスキーエリアの天気は非常に異なるとの説明もあった。


       CALL(02943)7943                  
 Flight to Mount Cook  NZ$250.          
 Ski the Tasman(two 10km runs,lunch,    
  3spectacular scenic flights) NZ$385.  
       Alpine Guides                    


8月30日(火) 曇りのち晴れ
 辺りの山々の上部に新雪が付いたのが雲の切れ間からわかるが、みぞれ混じりでセスナもヘリも飛ばない。オハウスキー場は営業予定と聞き、1時間半ほどかけて出かけて昼までゲート前で待った。しかし晴れてはいても、結局は強風によるクローズだった。
 平地からいきなり山となる地形では良くある事のようで、地元のスキーヤーたちは別のスキー場へ移動して行く。我々は明後日以降のヘリスキーと宿の予約も兼ねてワナカまでの2時間半のドライブとする。
 景色は珍しく、羊の道路横断で立往生したり、ポプラの木の下でのんびりゴルフする人達を見かけたりで、雪の上に早く立ちたいと思う気持も落ち着いてくる。ハミテージに戻ると夕焼けで、夜には完全に晴れて南十字星やマゼラン星雲を初めて見ることができた。

8月31日(水) 快晴 
 逆さまのオリオンが消え、Mt.Cookが朝焼けに染まる。無風快晴!!ただしガイドオフィスには8時半集合でも、フライトは10時すぎだった。クライストチャーチから飛んできた日本人団体を含めて50人ほどが7、8人乗りのセスナやターボポータでタスマン氷河に向かう。氷河に沿った20分ほどの遊覧飛行で氷河の分水嶺タスマンサドル2393mに着く。斜面を使った雪上の離着陸は滑走距離が短い。
 ここから標高1700mあたりまでの約10kmを氷河見物をしながら滑る。我々の担当ガイドはカナダCMHからのMiss.Maryで、他にもアメリカ人ガイドがいた。斜度は20度以下でスキー遠足といった感じだが、ここは氷河の上であり、ガイドが必ず先行した跡を境に指示したどちらか一方の側だけを滑る様にとの注意がある。ガイドの滑りはザックを背負っているので頭を振子の中心の様にして全身の上下動を使い無理がない。雪質は良く、小刻みにビデオや写真を撮り合い、3000m級の山々と合流する小氷河群を見上げながら飛行機が待つ所まであっという間の1stRunだった。
 再びタスマンサドルにもどり昼食の時間。サンドイッチ、ピザ、チキン、スープ、オレンジジュース、チョコレートバーなど。近くの小屋かららしいシールを付けて登ってきた山スキーヤーもいた。2ndRunヘ午前のコースよりやや北寄り。快晴の濃い青空の下で気温も上がり春スキーの様だった。
 帰りのフライトはパイロットのサービスでMt.Cook山頂直下での急旋回がありベルトをおさえて目をつぶってしまった。ヘリと違って長く横スライドするあの感じはどうも苦手だ。
 足を地に着けて大満足で3時半に飛行場を後にする。Mt.Cookの夕焼けも見たい気もするけれど、今晩のビールが買える時間にワナカに着くか心配で田村氏の顔色はもう変っている。昨日走った道なのでなんとか6時前に到着。無事にビールも確保され、ラムステーキ、キウイ、成田免税バーボン、ワインで乾杯。今晩も満天の冬の星空で、明日のヘリスキーは期待できる。 

9月1日(木) 快晴
 ワナカ湖畔のハリスマウンテンヘリスキーガイドオフィスに8時集合。我々は怖いもの知らずで、毎日可能な限り滑る”MaxVert”3日間で予約済。本日は上天気なので”行き先不明ツアー”をやるとの事。通常は一日一地域で滑るのだが、複数域を移動するものらしい。ワナカからトレブルコーンスキー場まで車で急斜面を登って30分。スキー場までは全く雪は無い。スキー場の駐車場は混んでいた。雪は少なくブッシュも見える。ヘリが1機整備中とかで、少し待たされたが、毎年のTV番組SKI−NOWでおなじみの塗装のあのヘリがワナカ湖を背景に、逆光の中を上がってくるのを見ると思わず気合が入ってくる。20人が、4回に分けてヘリポートからスキー場裏の南ハリス山脈へ。ガイド達がパウダーノーズと呼ぶエリアで昼食前に約2000フィートの標高差を5回滑る。晴天のため上部はパウダー(鼻までは上がらず膝下迄)でも下部はクラストしていた。
 遅いランチを稜線上でとり、南アルプスを一望にして、午後は4回滑る。斜面を変えて雪質は良くなったが、ビデオや写真にはりきりすぎて一回転ころびで首を痛めたり、クラストした雪の中で両足がつってしまうありさまで、ラストランは半分残してヘリに上がって来てもらう。申し訳ないです。本日の総滑走標高差は16800フィート。

9月2日(金) 快晴
 今日はティンダル山周辺ツアーで遠いから、早く来いとの電話が朝あった。マツキツキ川沿いに牧場の中を通り、小川を車で渡り、1時間程の谷間が本日のヘリポートである。(ニュージーランドの地名はマオリ族の呼び方のままのものはローマ字読みで良く日本人には言いやすい。)
 ノルディカの撮影隊と八方の基礎スキーの技術戦で人気の金子裕之と我満嘉治が来ていた。大型のビデオカメラで一人、三脚に一人、スチルカメラとその他のスタッフが二人くらいで、日陰と日向との境目をハイスピードで滑る二人を逆光で撮影する様子は参考になった。
 現地ガイドにも一人ビデオ撮影専門の担当がいてそのカメラを羨ましそうに見ていた。
彼のはデッキを背中にカメラを胸に入れて数年使い込んだホームビデオである。我々も借り物ながら8mmビデオ持参なのだが昨日の醜態から”滑りか撮影かどちらかにすれば?”と言われそうで彼には近寄らない様にしていた。
 今日のガイドは赤倉スキー場から来ている通称トシさんで、三日も晴れると雪はもう難しいが、それなりに選んでくれたコースで4Run,10000フィート程の滑走となった。昨日より南アルプスの懐に入り、ヘリは絶壁を何度か飛び越え、辺りの景色も雄大だ。

9月3日(土) 晴れのち曇り
 今日も晴れ。しかし雪質は更に難しいであろうと思われ、自然にキャンセルして帰路につくことにした。ワイタイキ川沿いに東海岸まで出て、南太平洋を見下ろしながら昼食。クライストチャーチに午後3時着。車を返し、オークランドへの空席をなんとか4人分貰い、ホテルを決め、空港に忘れ物をしたが見つかり、レストランは皆クローズなのでマクドナルドへ買い出しに行く途中で変なのにからまれそうになり、と都会の夜は忙しかった。

9月4日(日) 曇り
 私一人帰国し、他の皆さんはオークランド市内見物をして、翌日帰国となった。タスマン氷河の午後やヘリスキー中は暖かく日本の3月下旬くらい、下界は全く雪が無いのが普通で、すごしやすかった。天気の変化はゆっくりで、前線が通過した後の晴れに丁度あたってラッキーだった。遠山氏の知人が2週間前に来た時はMt.Cookの姿さえ見られず1週間なにもできなかったそうだ。
 山中ではヘリや飛行機に頼らず山スキーする人達も少数ながら見かけた。地図には山小屋の記号も多い。ビデオの編集は勢いでやるうちに最後のツメが面倒になったけれど、大阪の皆さんにも楽しんでもらえたようだ。 
 ヘリスキーで一緒だった、撮影隊の方の成果は年末頃に山と渓谷社よりスノークルージング(VHSの30分 ¥1980.)として発売された。ヘリの飛行中のシーンだけは我々のものと殆ど同じで可笑しかった。
 次はカナダ。”CMHが滑りは最高や”と言う遠山氏の言葉が耳に残っているので、気力と体力のあるうちに出かけたいものだ。 

                                 (小島 記)

 HARRIS MOUNTAINS HELI−SKIING ・ WANAKA  

HELI−SKIING DAILY JUNE TO OCT.          
(Weather permitting)                    

TheExperience:                          
  3runs,4scenic−heliflights $NZ315      

The Adventure:                          
  5runs,10,000vertical−feet $NZ390      

The Buchanans:                          
  1,1000vertical−feet                   
Launch:  Catered,apres−ski  $NZ450      

Magical Mystery Tour:                   
  1,6000vertical−feet       $NZ500      

”Max Vert”:                             
   50,000vertical−ft,3days$NZ1,650      
  100,000vertical−ft,6days$NZ3,200      

Odessey Weeks.........From$NZ3,497      

Write to P.O.Box 177 Wanaka or          
  CALL(02943)7930 or 7277 for bookings  

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