Last Update : Dec 14, 1997

戻る



ラ・ネージュ山スキー記録集III 


  発行日 1989年12月25日

大樺沢                     

南アルプス  広河原より往復                       

                              1987年6月6日 
                              M:橋本 亨 単独 

6月6日 晴れ
 異常に雨の少なかった5月だったから、雪はおそらく融けないで残っているだろうという予想は、バッチリ正解だった。納会流れの芝倉沢同様に寡雪でも雨による融雪さえ激しくなければ、6月でも充分雪が残ることが判った。前夜、夕食後に出発して、広河原に1:30AMに到着、そのまま仮眠する。外は降るような星空で、天の川が奇麗だった。
 翌朝、吊り橋を渡って樹林帯を登る。林の下には、フタリシズカの残り花とエンレイソウが咲いている。エンレイソウの花の色に変異が多く、紫色、薄紫色、白色と、いろいろ見られる。ムラサキヤシオツツジもいく株か見られた。夏の朝のような陽気で、一汗かく頃、雪渓末端に着く(2000m)。
 大樺沢の雪渓の上に出て、スキーを引張ることにする。寡雪の為、小さな木片や小枝で雪面が覆われているが、八本歯のコルまでともかく雪が続いているから滑降可能である。あとはひたすら登るのみである。標高差900m位、一見緩斜面に見えるが、二俣からは斜度が増す。ここにはもうゴミはなく、デブリの後もかなり小さくなっており、下りが楽しみである。上の二俣で、先行している人に何となく付いていって、夏道の小尾根の左側の沢沿いに行ってしまう。前回滑った沢は夏道の右側(下から見て)と気付いたが、そのまま登るとトレースは結局夏道に入ってしまい、上の二俣で着けたばかりのアイゼンを脱ぐ羽目になるし、スキーはトラーゲンしなくてはならないし、えらく時間のロスとなる。フテ腐って大休止し、バットレスや滑降予定のコースの雪面の写真を撮る。かなりの急斜面であることを自覚する。
 八本歯のコルには雪がなく、前回の滑降スタート地点は標高差で50−70mくらい上部である。快晴で間ノ岳が正面に大きい。鳳凰三山も野呂川を挟んですぐ近くに見える。その間に、今登ってきた大樺沢が低く見えている。バットレスを登っているコールもよく聞こえる。雪面が少し堅くなるまでと、2時頃までぐずぐずと過ごす。スタート地点まで、スキーを手に持ちハシゴ登りが続く、スキーとは邪魔なものだ。ハイマツをかき分け雪面に立つ。尾根から3m位のところまで雪がついているから、前回とほぼ同じ雪量である。表面だけは柔らかいが下は堅く、雪面を切ると、斜面全面の雪がずり落ちる。
 転倒すると雪と一緒にどこまでも落ちそうなので、安全第一でともかく上の二俣まで下りる。両二俣の間は、幅、斜度、雪質すべて快適で、ご機嫌である。下の二俣から下は、予想以上に雪面が冷えて、コンクリートのように堅い。木片の中を、フミカエで一本足滑走すると、程なく雪渓末端に着き、今シーズン最後のスキーを脱ぐ。

                                  (橋本記) 
【コースタイム】
広河原 6:00 −> 雪渓末端 7:30− > 八本歯のコル 11:00/14:00
 −> 雪渓末端 14:40/15:00 −> 広河原 17:00
戻る
山スキー同志会のホームページへ
メールの宛先:
webmaster@ysd-jp.org