Last Update : Jan 1, 1998

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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

                                    伊藤碩志
 記録集の1が出てから、二年たちました。そして今回の2集が、発行されます。この間に私たちは、誕生と育ての親である、東京スキー協を離れ、東京の中部労山に加盟しました。これには、反対の声もありました。しかし、山行回数は増え、山域も広く、深くなってきました。安全に対する考えがだいぶ違ってきました。もはや、スキークラブではなく山岳会として、勉強し実践していこうということになりました。
 最近の山スキーはちょっとしたブームです。はげしい登山用具の発達は、山スキーの分野にも言えます。板にしても新しく山スキー用を作るメーカーや、輸入を始める商社があり、プラスティックの靴もなん種類か出てます。これは、売れるからと思ってのことでしょう。買い替えの人もいますが、山スキー人口の増えている、あかしです。こうなると事故が増えるのではと、少し心配になります。
 列車の中などでは、少数派の私達。興味のある一般のスキーヤーに、山スキーについて、聞かれたときは、すばらしく楽しいことと、必ずつらいことや、危ないことも話します。たとえば、ゲレンデでは機械につぶされて味わえないような新雪。自重さえ感じず雪にのって、どこまでも落ちていくのではないかと、錯覚するような深雪。でもそこらは雪崩の巣かもしれないし、登りのきつい所です。広大な斜面を自由に滑るのは、山スキーならではの醍醐味です。それなのにシュカブラやアイスバーンで足をとられて、一瞬顔がひきつったようなことを、私が向こうみずに入門して得た経験を反省しながら書きました。

 水をさすようなことばかり書きましたけど、この記録集は、山スキー以外の山行記録も、載せてあります。他のというと沢登りが圧倒的に多いです。会の外の人でも、山スキーと沢登りの両方をする人は多いみたいです。いくつか似たところがあるからでしょうか。特に高い山を選ぶ必要はなく、全体に日数が少なくても楽しめるところが多い。
 遡行や滑降が面白いので、登山の中の苦しい思いを半分は減らしてくれる。なかには下山して飲むビールのために、苦しんでると言う友達もいます。何処に行くのもそうですが、とくに荷を軽量化する必要があります。逆に見ると体は楽なわけです。それに水がそばにあるので、安心できます。これらは岩登りでも、共通してる点が多いですね。攀じることを楽しんで、頂上に立ち、懸垂下降で下までとなれば、言うことなしですけど、おっかないので私はやりません。
 この記録集はごくふつうの人が登り、下った記録です。それでもよく名前の出てくる人達のコースタイムは速いかもしれません。参考にするときは気をつけて下さい。
 記録はたんなる思い出ではなく、次の一歩の足場です。今は仕事や家庭が忙しくて山に行けない人や、新しく入ってくる人、他にもいろんな仲間の人達と、一緒に歩けるためにもまた一歩、進みましょう。

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