Last Update :Aug 31, 1999 概念図追加
        May 17, 1998
戻る


 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

クワンナイ川                  

北海道 / 忠別川                        
                         1981年8月1日〜7日 
                    L.長谷川、高野、今野、蔵田、川口 

8月1日(土) 晴れ                           

 旭川の駅の旅行者の簡易宿泊所みたいな待合室で一夜を明かし、天人峡行きのバス停で 
長谷川さん等メンバー4人と合流する。クワンナイ川の出会いでバスを止めてもらい、河 
原で準備を整えて忠別川本流を渡る。流れが急で流されそうになるが何とか渡り終わる。 
右岸を登り途中で河原に出る。水面に光が反射して眩しい。難しいところもなく渡渉を繰 
り返しながら、少し広くなった河原にテントを張る。夕食まで時間があるのでおかずを釣 
りに行くが小さいのが一匹しかつれず食べるのを止めて池を作って放してやる。アブにい 
っぱい刺される。                                 

【コースタイム】                             

クワンナイ川出合 10:20 → 800m地点 15:05(泊)     


8月2日(日) 晴れ後曇り                        

 起きて池を見ると昨日の岩魚は既にいなかった。逃げ足の速いやつめ。今日はいよいよ 
滝の背十三丁。途中岩魚が釣れそうな淵があったので、小休止して糸を垂れると、釣れた、
釣れた。15分の間に8匹。早速塩漬けにしてビニールで包んでおく。何でも北海道では 
オショロコマと言うそうである。暫く行くと魚止めの滝にぶつかる。いよいよクワンナイ 
川のクライマックス滝の背十三丁。一枚岩に水が流れる中をゆっくりと歩く。これぞクワ 
ンナイと言う感じだ。滝の背十三丁も終わり暫く行くと黄金ヶ原からの沢を右に見て雪渓 
を上り詰めると、目の前にお花畑が開ける。今日の我が家はここに決定。小川の流れる脇 
にテントを張る。                                 
 高野さんと蔵田さんに夕食の準備を頼んで、長谷川さんと今野さんの3人でトムラウシ 
へ行く。ハイマツの中を登ると縦走路に出て走るようにトムラウシを目指す。北沼からガ 
レた道を登るが、ガスで目標を見失いここが一番高そうなので頂上にする。しかし、後で 
1人でトムラウシへ登った蔵田さんに聞くと、頂上はもう少し先だそうだ。来た道を急い 
でテントまで戻り、焚き火で岩魚を塩焼きにして、クマのことも忘れて食べる。最高に美 
味い!!                                     

【コースタイム】                             

テント 6:15 → 970m二俣 8:30 → 魚止の滝 9:45 → 
滝の背十三丁 9:50 → 二股の滝 11:45 →           
源頭テント 13:45 → トムラウシ山 15:50 →         
源頭テント 17:25(泊)                       


8月3日(月) 晴れ後曇り                        

 クワンナイ川も終わり、今日から地獄谷へ。天然の温泉を目指して心もウキウキ。これ 
が地獄の始まりとも知らずに。                           
 縦走路でトムラウシへ行く蔵田さんと無事を祈って別れ、我々4名はお花畑の中を化雲 
岳を目指す。化雲岳の直下を巻いてハイマツの中を五色岳へ向かう。五色岳で小休止を取 
り記念写真。忠別岳、旭岳など大雪の山々がほとんど見える。スケールが大きい。昨日行 
ったトムラウシも見え天気は上々だ。ちょっと気がひけるが道のないお花畑の中を五色沼 
へ出る。ここでワラジを着け、沢の源頭を探すがなかなか見つからず、木に登ってやっと 
見つける。クマが出てきそうなところなのでカラビナを鳴らして元気を出す。お花畑の中 
の小川を少し行くと最初の滝らしいものにぶつかる。右岸の雪渓を見ながら、急なところ 
を慎重に下る。下るに従って蚊とアブが大軍で襲いかかってくる。沢が曲がりくねったと 
ころに出ると、スゲ沼が見えてきた。腰まで水に浸かりながら沢の中を下ると、硫黄のに 
おいが両脇が赤土の壁になっているところでして来た。地獄谷もすぐ近くかと思うがなか 
なか着かない。無言のうちに河原歩きを繰り返すと、いきなり右岸からの五色沢に合流す 
る。少し下ると右岸よりの化雲沢と一緒になるところで湯煙が見える。やっと着いた。右 
岸の台地にテントを張る。温泉のテント場なので地面が乾いていて暖かい。早速地獄谷温 
泉を河原に建設するが川から水を入れすぎて、水風呂になってしまい皆に平謝り。残り少 
ないウイスキーをもらって、夢の中へ。                       

【コースタイム】                             

テント 6:30 → 五色岳 9:25/35 →             
五色沼 10:05/40 → スゲ沼源頭 11:30 →         
地獄谷 15:20(泊)                         


8月4日(火) 雨 停滞                         

 朝起きると昨夜からの雨のため、沢の水は倍になり濁った水が石を転がしながら流れて 
いる。昨日の穏やかさとは一変して荒れた沢になっている。自然の怖さを感じながらテン 
トでラジオを聞く。北海道は台風に刺激された前線の為、各地に被害が出ていると言う。 
大雪の片隅の地獄谷でもそれを感じながら昼寝をする。                


8月5日(水) 雨 停滞                         

 昨日より水量は増えている。これではとても登れない。今日も停滞日。五目並べをしな 
がら時を過ごす。昼過ぎから雨が強くなってきた。万一のことを考えザイルを張って10 
m位の高台へテントを移す。笹薮の中なので思うようにテントが張れず一つのテントに互 
い違いで4人寝る。                                


8月6日(木) 曇り時々晴れ                       

 雨もあがり、久しぶりの太陽が雲間から見える。水量も減ってきた。今日は脱出できそ 
うだ。11時に思い出の地獄谷を後にするが、沢の様子が全然違っている。大木が根こそ 
ぎ持っていかれ台風の恐ろしさを知る。水量の多い中を速いペースで登り、源頭まで戻っ 
てくる。縦走路に出た時は、皆と握手を交わした。                  
 曇り空の中を忠別小屋までたどり着く。2階建ての立派な小屋だ。残り少ない食料で夕 
食を取る。今日は足を伸ばして寝た。                        

【コースタイム】                             

地獄谷 11:00 → スゲ沼沢源頭 15:00/10 →        
五色岳 16:10 → 忠別小屋 16:50(泊)            


8月7日(金) 曇り後晴れ                        

 夜明けを待って小屋を出発。五色岳から化雲岳を越え第一花園から天人峡へ下る。足は 
疲れているが満足感でいっぱいだ。ジュースで乾杯。                 

【コースタイム】                             

忠別小屋 6:55 → 五色岳 5:45/50 → 化雲岳 6:55 → 
第一花園 9:30 → 天人峡 11:20                

                                  (川口 記) 


                                  電子化 作野 

【概念図】                                      





戻る
山スキー同志会のホームページへ


メールの宛先:
webmaster@ysd-jp.org