Last Update :Jul 27, 1999 概念図追加
Jan 1, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

雪倉岳(1)              

北アルプス / 蓮華温泉より

                       1982年3月20日〜22日 
          L:陶山、M:郡司、馬場、作野、角田、田中(道)、針谷、
              蔵田、古川、伊藤(久)、鈴木(由)、鈴木(利) 

3月20日(土) 雪、栂池スキー場 → 蓮華温泉

 白馬駅よりバスで栂池スキー場に入る。雪と強風で上の方は吹雪では?と心配しつつ、ゆれるリフトを4基乗りついで終点まで行く。少し滑って車道に出る。ここでシールをつけて歩き出す。神ノ田圃を通り成城大ヒュッテ前にて小休止をとる。 
ここから天狗原へは赤旗にそって登る。広い急斜面では斜登行とキックターンのパターンで登ってゆく。スキーをザックにつけたツボ足のパーティに追い越されるも私達はスキーで登りきる。約2100mの登りきった所にて小休止をとる。
 天狗原ではアイスバーンでその上強風とガスで視界ゼロの中ようやく祠の所につく。強風で雪が顔に当たり痛い。じっとしていられない。急いでシールをはずす。振子沢への滑降開始だ。重たい雪質。赤い標識があちこちにあった。振子沢に入ると雪が上がり雲がきれ時おり晴間が出てきた。途中より沢を離れ間もなく橋を渡ると蓮華温泉ロッジに着いた。

(古川 記) 

【コースタイム】
栂池スキー場リフト下 9:15 → 天狗原 11:40/12:00 → 
蓮華温泉ロッジ 14:10


3月21日(日) 蓮華温泉 → 雪倉岳(2500m近辺) → 蓮華温泉
                         L:郡司、M:馬場、角田 
  [ 荒天のため、本隊は停滞 ]                     

 雨の中を出発して滝見尾根に登った。テール開放の滑降がむずかしく苦労した。瀬戸川から雪崩のおきそうな右岸斜面を登り雪倉の滝上と思える場所に着いた。はるか前方に青氷の壁が見える。そのわきが登路となる急斜面だ。雨もいつしか雪まじりに変わった。この斜面を必死で登ったがその上で右上に登る斜面はついに階段登りになった。大変苦労の結果、友の場所に着く。そこからしばらく沢を前進するうちにガスの切れ間にピークが見えるのでそこへ登ったが頂上はまだ先の処と思える。再び前進したが、自分は一歩進むと一休みするほど苦しかった。しばらく登ると稜線近くを思わせる状影となった。しかしこれ以上の前進は出来ず下山となった。
自分は死なずに帰れる気がした。それほど厳しい状態だった。下降も苦労の末に雪倉の滝に出た。体力・気力の落ちた自分には、滝見尾根の登り返しはきつく下降も転倒の連続で、必死に友の後をおっていた。意識はうすれ”死んではならない”といいきかせながら歩きつづけ、ついに蓮華温泉に着いた。雪崩も多く発生する最悪の条件での山行を初めて体験出来た事を先輩達に感謝します。

(角田 記) 

【コースタイム】
蓮華温泉 8:00 → 雪倉の滝 10:00/10 → 2500m近辺 
13:00/10 → 雪倉の滝 14:00/15→ 蓮華温泉ロッジ 16:15 


3月22日(月) 晴、蓮華温泉 → 天狗原 → 山の神コース

 昨日の悪天に較べ、すじ雲が見えるが青空の中、真白い雪倉の稜線が眼の中にとび込んでくる。みんなくやしいー残念だーを連発しながら冷気の中シール付けに忙しい。
 でもこの天気が逆で昨日上天気で目一杯動き、今日が、雨のち吹雪の状態での下山だったら山の神コースも滑れないし、とてもしんどかったに違いない。
 昨日のおもしろかった休養と今日の上天気を感謝しつつ、新雪を踏みしめながら蓮華温泉をあとにする。 
 左に平岩コースを見送り、もと来た右の沢に入る。入山日滑った時は、雪質も悪く、かなりの斜面と感じたが、トップLのルートのとり方も良いせいもあるが下から登ってみると大した傾斜ではない。それでも汗びっしょりで天狗原の源頭につきあげた。
 ここは風が吹きまくり、ヘリコプタが飛来してきてはバラバラと人が降りてきてスキーヤーが山の神方面へ滑り始めてゆくのがみえる。
 我々も快調に滑り出し50分程滑って山の神をすぎた1800m地点のおあつらえむきの斜面で休憩する。ますます天気は良くなり陽が暑くてたまらない。
 やがてブナ林に入りやややせた急斜面を横すべりで処理して黒川沢の源頭でひと休みする。稗田山を巻くコースは雪も少ないのでこのまま沢を下る。雪はビチョビチョの重いくされ雪になり、ころげ落ちるようにして里見ゲレンデの上部に出る。
 ゲレンデの中は風を切って、あっと言うまに終わってしまい、すぐバスに乗り込み南小谷の駅でスパッツを取ったりして15:00の始発に間に合い、全員座れて、おもしろかった3日間のスキーも終わった。

(田中(道) 記) 

【コースタイム】
蓮華温泉 7:25 → 天狗原 10:25/11:00 → 
1800m 地点 11:50/12:20 → 源頭 13:20/35→ 
スキー場上 14:00/10 → スキー場下 14:20 → 南小谷 15:10


【概念図】                                


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