Last Update :Jul 8, 1999 概念図追加
Apr 30, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

柄沢山                      

上越 /
                          1982年3月21日、28日 
                             メンバー:長谷川 単独 

3月21日(日) 小雨後にわか雪 〔柄沢本流(ナメリ沢)奥の二俣まで〕

 過去に2度、巻機山から柄沢山まで縦走し、涸沢を下降する計画を立てたことがあったが、いずれも天候に恵まれず、井戸尾根の往復に終わってしまった。今回は、涸沢を詰めて直接柄沢山を目指すことにした。
 六日町駅で、偶然元会員の橋爪氏に会い、タクシーで一緒に清水まで入る。巻機山へ登った後、朝日岳から宝川へ下る計画だと言う。清水に着くと曇り空から小雨がポツリポツリ落ちてきた。天候はあまり期待できそうもない。涸沢橋の手前より沢へ入る。樹林帯を抜けると左手に開けた台地が見えたので、そちらに移る。800m付近では、威守松山からの大きなデブリが台地を横切っていた。小雨は雪に変わり、視界もあまりよくない。稜線付近では強風が吹いているようである。
 900m付近より沢幅が狭くなり、薮の濃い左俣を見送るとすぐに小さな滝にであった。雪はまだ硬く、スキーを脱いで巻く。その先で、沢は本流と右俣の分岐となる。傾斜の緩い本流を進む。本流は、一ヶ所滝が出ていた他は、幅、斜度共にスキー向きのルートである。時折、強風が吹き降ろしてきて前進を阻む。やがて、沢が二手に分かれる場所に着く。
この付近から沢は傾斜を増し、雪面もアイスバーンに近くなってきた。アイゼンに替えて、左沢を暫く登ってみたが、先行きに自信が持てず、下ることにする。下りは、新雪とアイスバーンのミックスした斜面にてこずったが、まずは快適なスキー滑降が楽しめた。滝より下は、雪も緩み、沢に沿って直滑降で下る。清水に近づくにつれ、天気も回復してきて、何だかがっかりした気持ちになる。滑り始めてから30分足らずで清水に着いた。

【コースタイム】

清水 7:20 → 本流と右俣の二俣 9:15 → 
奥の二俣付近 10:00/45 → 清水 11:10


3月28日(日) 快晴 〔涸沢右俣(セン沢)〕

 今回の山行は直前になって行くことに決め、あわてて準備をした為か、シールという大事な用具を忘れてしまった。電車の中で気がついたが、ツボ足でも何とかなるだろうと思っていた。ところが、清水に着くと、最近の降雪の為新雪が50cmあまりにもなっている。ガックリしたが、行ける所までいこうという気持ちで出発する。
 最初からラッセルは膝近くまであり、ペースは前回の半分に落ちてしまう。シールの重要性を改めて感じた。二俣付近では雪は更に深くなり、一歩踏み出すのに苦労する。二俣から先は、本流と右俣の間の枝尾根に取り付く。沢の中に比べ雪は少ないとはいえ、傾斜が加わってなかなか歩みははかどらない。時折クラストした部分も出てくるが、ここはキックステップで力いっぱいけり込まないとずり落ちそうになる。ラッセルとキックステップを繰り返して、1820mのJ.P.に着いたのは3時近くになっていた。柄沢山は間近に見えるが、時間的にも体力的にもここが精一杯であった。
 ザックの上に腰を下ろし、晴れ渡った春山の展望を楽しむ。見慣れた山々だが、白い山や谷は何度来ても見飽きることはない。ここから、本流右俣を滑ることにする。柄沢山西尾根へ少し回り込んで右俣へ下りる。30度前後の斜面が、二俣近くまでずっと続いているが、ブッシュもなく快適に滑ることができる。何回転かシュプールを描くと、息が切れ、ももが痛くなるが、頑張って滑り続ける。二俣から先は、のんびりとスキーを走らせ、清水へ戻った。

【コースタイム】
清水 7:25 → 二俣 11:30/50 → 1620mJ.P. 14:55/15:25 → 
二俣 15:40/45 → 清水 16:10 


記:長谷川、電子化:作野 

【概念図】                                          

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