Last Update :Jul 8, 1999 概念図追加
Jan 10, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

朝日岳                 

上越 / 西尾根
                       1982年3月13日〜14日 
                       L:小森宮、菅沼、陶山、坂井 

3月13日(土) 六日町 → 登川 → 朝日岳

 六日町よりタクシーで清水部落へ入る。部落のはずれでシールをつけ出発。橋の手前より登川の右岸を進み、林を抜け出た所で二本の丸木でできた橋を渡り左岸へ移る。国鉄の雪上車の跡があり、これに従って30分程進み、また右岸へ移る。傾斜のない広々とした河原である。天候高曇り、風はなく視界良好である。東屋沢手前の標高720m地点で休憩。雪上車の跡はここで消える。頭が痛く食欲もないが、りんごを一個かじる。しばらく進むと堰堤が現われる。堰堤を避け、右岸の崖を高巻くと国鉄避難小屋の見える台地に到着する。一旦檜倉沢へシールをつけたまま滑り降りて、雪の消えかかった夏道沿いに避難小屋まで登る。
 ナルミズ沢を過ぎて、右手の尾根に取り付く。急登である。背後の尾根で雪崩が落ちる。コモさんとサカイさんの二人の速いことったらありゃしない。ゆっくり登るように指示していたリーダーのコモさんと風邪気味で調子がでないと言っていたサカイさんである。あっという間に引き離されてしまう。あえぎあえぎ、皆の待つ1340m地点に着く。休んでいると急にガスにまかれる。風も出てきた。10〜20m程の視界である。 
 ここからは、幾分か傾斜は緩くなる。 清水峠へは登らず、直接ジャンクションピークへ続く稜線を目指す。 稜線では視界が全く効かず、足元すら覚束ない程であった。急登でバテてしまって、どうにでもなれという投げ遣りな気持ちで雪庇・クラックのある稜線を登る。1800m付近で霰が降り出す。風強く雪面も凍ってきたのでアイゼンに履きかえる。夢遊病者のような足取りでジャンクションピークを通過。朝日岳ももうまじかと思われる1940m地点をビバーク地とする。ホッとしたとたん元気回復。朝日岳・朝日ヶ原ともにどこかわからず、霰とガスの吹き荒れる中、雪洞を掘る。

【コースタイム】
六日町 6:00 → 清水 6:25/50 → ナルミズ沢出合 10:00 → 
1340m 10:50/11:20 → 稜線1580m 12:00/10 → 
1800m 13:15/25 → B.P. 14:20


3月14日(日) B.P → 朝日岳 → 西尾根 → 池ノ窪沢 →  
         清水峠 → 七ツ小屋山 → 蓬沢 → 土樽 → 上野

 雪面が凍っているので西尾根に陽が当たるのを待って8時頃雪洞を出る。ピーカンだ。四囲の山々がどこまでも良く見える。朝日岳までの広い稜線は凍ってテカテカに光っている。エビノシッポを払い落としたスキーを引き摺って歩き10分程で朝日岳山頂に立つ。
 西尾根を少し下り、スキーを着け、滑降を開始する。恐いデコボコのアイスバーンを慎重に降りる。1700mのコブを越える時、不用意にトラバースしようとして30〜40m滑落してしまった。幸い無傷であった。
 9時10分1630mの小さな丸いピークに着く。ここからは右手の尾根を快適に滑降し、すぐに池の窪出合へ着く。かすかにシュプールが残っている。出合でしばらく休み、シールを着け、沢をつめ、清水峠とJ.Pの間の稜線へでる。シールが良く効き、斜度もさほどなく楽な登行である。清水峠へ向かう稜線は非常に堅い雪面となっている。左手の西尾根に先程滑ってきたシュプールがくっきりと見える。
 清水峠手前の1504mピークから、わずか50mの下りを惜しみシールを外して滑る。清水峠からはつぼ足組とシール組に分かれて登る。シール組の方が圧倒的に速い。シールとつぼ足の差というより体力の差であろう。いくつかのコブをスキーを着けたり、つぼ足で歩いたりして越えていき、七ツ小屋山三角点に立つ。ここでシールを外し、滑降の体勢へ入る。 稜線上を足拍子へ続くジャンクションへ滑る。 わずか10分程で、1544mのジャンクションへ着く。足拍子への尾根を少し滑り、蓬沢へ向かう支尾根を下降する。非常に滑りやすい雪で、気持ち良く一気に蓬沢まで滑り降りる。登行の苦痛は持続し、滑降の快感は瞬間である。 1000m付近で蓬沢本流へ降りる。とたんに悪湿雪となり、ズブズブと潜り苦労する。斜度もなくなる。900m付近で下山中の3人パーティに会う。うらやましそうな視線を背中に感じつつ滑るが、さほどうらやましがられるほどの快適さはない。途中、2ヶ所程今朝雪崩れたばかりと思われるデブリの跡を通過し、林間へと入っていく。 悪湿雪とは言え、歩くよりは格段に速い。 茂倉新道登山口で、スキーを外し、土樽まで歩く。計画段階ではもっと時間のかかることを予想していたが、好天のおかげで、思いの外、早い時刻に帰ることができた。 

【コースタイム】
B.P 7:55 → 朝日岳 8:05/20 → 西尾根滑降開始点 8:25/35 → 
1630m 9:10/30 → 池の窪出合 9:45/10:05 → 清水峠 10:35/45 →
七ツ小屋山三角点 11:35/50 → 1544mJ.P 12:05/25 → 
900m 12:50/13:00 → 登山口 13:30/55 → 土樽 14:05 


(陶山 記) 

【概念図】                                          


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