Last Update :Jun 27, 1999 概念図追加
Jan 10, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

上州武尊山                 

上越 / 笠ケ岳へ
                         1981年4月4日〜6日 
                             L:長谷川、陶山 

4月4日(土) 曇り一時小雪
[上ノ原〜沖武尊〜武尊田代分岐]

 上ノ原山ノ家でシールをつけ、雪の固くしまった奈倉沢林道を快調なペースで進む。夏道の尾根に取りつく所からスキーアイゼンを使ってみた。シールのずれが少なく、クラストした急斜面には有効である。1月に滑った時にはじゃまになった潅木も今はほとんど雪に埋もれ、良いゲレンデとなっている。陶山氏の身体の調子が悪くなり、途中でしばらく休む。
 避難小屋からは手小屋沢をつめ、傾斜が急になった所でつぼ足に替えて進む。1984mPのコルに出た頃から小雪がちらつき始めたが、見通しがきくので今日中に武尊を越えることにした。頂上直下の急な斜面を一歩一歩慎重に登り、沖武尊の頂上に立つ。天気も持ち直し、広大な川場谷カールや西武尊(剣ヶ峰山)の登路がよく観察できた。
 中ノ岳とのコルまで下ってシールをはずし、北側のクラストした斜面をトラバースして武尊牧場へ続く尾根に出る。少し下ると短いがひどく急な斜面に出た。無理にスキーで下ったため、エッヂをはずして十数メートル滑落してしまった。その先の尾根には、波状の大きなギャップが延々と続いている。 うんざりしながら、スキーをひっぱって歩く。最後のコブを越えた所でスキーをつけ滑り始めたが、調子に乗って武尊牧場の方へ下り過ぎ、20分程登り返すはめになった。

【コースタイム】
上ノ原山ノ家 7:30 → 夏道尾根末端 9:10 → 奈倉ノオキ 10:40/50 → 避難小屋 11:40 → 1984mPのコル 13:10/30 → 沖武尊 14:20/55 → 武尊田代分岐 17:30 


4月5日(日) 曇り時々晴れ、夜半みぞれ
[武尊田代〜西山〜坤六峠〜笠ケ岳(片藤沼)]

 武尊田代一帯は、うっそうとした原生林におおわれている。人間臭さのしない、自然を強く感じる所だ。おおまかな地形と磁石を頼りに、村界線に沿ってルートをとる。斜度はあまりないが、朝のしまった雪質のおかげでスキーは割と良く滑ってくれる。
 広いコルより西山の登りにはいる。この付近は、斜面が広いうえ樹林の間隔も適当にあいていて、林間滑降が楽しめそうな所だ。稜線に出ると、武尊田代の全容が眼下に見渡せる。広大な田代全体が濃い緑でおおわれ、雪の地肌は木々の間からわずかにのぞかれるだけである。なぜか印象に残る光景であった。 
 西山から先は波乗りコースになる。シールをつけたまま下る。1779mPの手前より坤六峠もでつかの間の林間滑降を楽しんだ。峠の両側には快適そうな斜面が続いているが、我々はまっすぐ尾根通しに進む。ひとつ小ピークを越える毎に笠ケ岳が近づいてくるのがなぐさめになる。笠ケ岳がま正面に見える片藤沼手前の樹林帯にツエルトをはる。夕食を作り始めた頃から、パラパラと雪まじりの雨が降り出した。 

【コースタイム】
出発 7:15 → 西山登り口 8:25/45 → 西山 10:25 → 坤六峠 12:20/30 → 片藤沼 15:05


4月6日(月) 霧後曇り 
[雨量観測所〜1429mP〜湯ノ小屋]

 朝になると雨はあがったが、周囲は濃い霧におおわれ見通しがきかない。笠ケ岳はまたの機会に譲り、湯ノ小屋へ下ることにした。
 1962mPよりロボット尾根をめざす。樹林におおわれた広い尾根を短くピッチを切って、進路を修正しながら下る。悪雪のうえコブ状の起伏が多く、あまりスキーは楽しめない。ロボット尾根に出ると、ガスが一時的に切れ、笠ケ岳の姿が見えた。西側の尾根には立木のない見事な斜面が広がっている。今度来る時には、是非滑ってみたいと思った。
 雨量観測所からは、西に続く尾根を下る。この付近の地形は複雑に入り組んでいて、地図と首っぴきでルートを捜す。波乗りとヤブこぎを続け、何とか迷わず最後の1339mのピークに出る。ここからしばらく快適に滑ると、尾根がヤブの中に消え、行き詰まってしまった。やむなく、左手の狭い沢へ移る。標高差300m近く斜滑降・キックターンの繰り返しで下降し、木ノ根沢林道に出た。

【コースタイム】 
出発 7:25 → 三叉路(1720mP) 8:30/8:40  → 1429mP 9:50/10:00 → 1339mP 10:45/10:50 → 木ノ根沢林道 11:45/12:10 → 洞元の滝バス停 13:00


(長谷川 記) 


【概念図】

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