Last Update :Jun 27, 1999 概念図追加
Apr 19, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

上州武尊山                     

上越 / 前武尊より上の原
                          1981年1月15日〜17日 
                      メンバー:長谷川、藤谷(都職山の会) 

1月15日(木) 小雪後晴れ 〔前武尊スキー場〜花咲尾根〕

 豪雪による交通機関の乱れとシールトラブルとで出発が遅れ、歩き始めたのは12時を過ぎてしまった。チラチラ降っていた雪もやみ、目指す前武尊もよく見える。1665mPまではなだらかで気持ちよい尾根が続く。膝までのラッセルだが、雪は軽い。右隣の沢や尾根はスキー滑降にはよさそうである。
 左の花咲尾根と合流する付近からは傾斜が増し、キックターンが苦しくなる。1850m付近の稜線で行動を中止し荒沢側の斜面に雪洞を掘る。雪は柔らかく、1時間半ほどで立派な雪洞が出来上がった。天気図では低気圧が南岸を進みそうな気配であり、明日の天気が心配された。

【コースタイム】 
前武尊スキー場(第3リフト) 12:20 → 1665mP 13:45 → 花咲尾根合流点14:55 → 1850m地点(雪洞)15:30


1月16日(金) 快晴後雪 〔前武尊〜沖武尊〜手小屋沢〕

 雪洞を出ると、予想に反し真っ青に晴れたよい天気である。今日は、最初から30度近い急斜面の登りである。樹林のまばらな斜面が断続的に続いていて、新雪滑降が楽しめそうな所だ。やがて斜度が緩やかになり、前武尊の山頂に着く。山頂からの展望は素晴らしい。特異な姿を見せる皇海山や日光白根。至仏や笠ヶ岳はスケールの大きな斜面をのばしている。真っ白な雪壁を持つ西武尊も魅力的だ。しかし、展望を楽しんでいる間にも谷川方面には雲がかかり始め、天候悪化の兆しが見えてきた。
 いよいよ核心部の縦走に入る。最初の剣ヶ峰は東側(右側)をトラバースする。下から仰ぎ見ると、岩峰がのしかかってくるようで圧迫感を感じる。続いて、家ノ串は西側(左側)をトラバースし中ノ岳とのコルに出る。コルにつく頃には周囲はガスにつつまれ、雪も降り始めた。中ノ岳へは稜線づたいに行く。稜線に出来た大きなコブの乗越しに苦労する。中ノ岳から少し下って、樹林の比較的多い北側(右側)の斜面を進む。樹氷が見事だ。
 日本武尊の像を過ぎると間もなく沖武尊の頂上である。少し下がってからシールを外し、初めての滑降に移る。木が多く快適とはいかないが、楽しい気分だ。1984mP下のコルから手小屋沢へ滑り込む。ここは連続回転も出来る。沢の中に入るとスキーは滑らず、下りのラッセルとなる。避難小屋を見つけることができず、沢の左岸に雪洞を掘る。

【コースタイム】
出発 7:55 → 前武尊 9:25/50 → 家ノ串と中ノ岳のコル 11:05/25 → 
中ノ岳 12:25/45 → 沖武尊13:45 → スキー滑降開始地点 13:55/14:25 → 手小屋沢(雪洞) 15:45 


5月3日(月) 1月17日(土) 雪後曇り 〔避難小屋〜奈倉のオキ〜上の原〕

 相変わらず雪は降り続いているが、それほど積もってはいない。 現在位置がはっきり確認できないので、左手の尾根へ登ってみることにする。。武尊川のほうへ迷いそうになったりしたが、やっと避難小屋の導標を見つけ一安心する。ここからの登りは雪も深く、腰近くまでもぐるところもある。奈倉のオキまで2時間余りかかってしまった。
 木の窪みで暫く休んだ後、夏道の尾根を下る。正面から雪が吹き付け、頬が痛い。ここも潅木が埋まりきらず、斜滑降・キックターンを余儀なくされる。奈倉沢には、前日のものと思われるツボ足のトレールがついていた。スキーはあまり滑らず、先頭を交代しながら下る。
 スキー場の音楽が聞こえると、間もなく上ノ原高原を見渡せる地点に出た。広く緩やかな斜面に山行の終了を飾るシュプールを残し、宝台樹スキー場へ向かった。

【コースタイム】 
2020m地点 7:05 → 駒ケ岳 7:20/35 → 出発 8:00 → 武尊避難小屋分岐 9:45/10:00 → 奈倉のオキ 12:00/20 → 上ノ原山の家 14:00


記:長谷川、電子化:作野 


【概念図】 

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