Last Update : Apr 25, 1999 概念図追加
Feb 15, 1998
戻る


 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

朝日連峰縦走                

東北 / 大井沢より葉山
                         1981年4月29日〜5月3日 
                                   遠山 単独 

4月29日 曇り

 急行蔵王3号が福島駅で立ち往生。おかげで山形6:15発の月山行きの特急バスに乗り遅れてしまった。結果的に間沢から大井沢へはタクシーとなった。4600円也単独行はつらい。10:15大井沢着。大井沢川に沿って約1km入った神社の手前までしか除雪されていなかった。独りで寂しく準備していると、同じコースを天狗小屋まで行くという仲間が現れた。オオハザマ氏という山形在住の労山会員で、天狗小屋で一泊しピストンで下山するとのことだ。荷物が軽そうでうらやましい。
 神社の手前の橋を渡ってシールを着け、南俣沢分岐まで1時間。今にも流されそうな橋を渡って、工事中の堰堤の右岸までつぼ足で行く。竜ケ岳へ向かう焼峰までシールで快適(?)に登れた。竜ケ岳のトラバース地点からまたシールで登る。竜ケ池付近はスキーで遊ぶには最適だ。
 コースは夏道から大分外れた竜ケ池のふちを取り1255mピークの肩に出た。 大朝日までの稜線が一望のもとに広がった。ここから天狗までは標高差わずか100m、一安心だ。前方から4人現われ、歩くのが妙に速い。近づいてみるとライフルを持った猟師だった。熊狩りだとのことだが獲物は持っていなかった。40分で雨量観測所だ。ここから猟師の通った足跡を辿ってトラバースする。夏道より大分近道をして天狗小屋へ到着する。猟師に聞いていた通り、先客が一人ピカピカの小屋を占領していた。この客氏とは翌日から3日間行動を共にした。水はあるし、小屋は’80年に完成したばかりで素晴らしい。

【コースタイム】

大井沢 10:45 → 南俣沢分岐 11:45 → 1255mピーク 15:00 → 雨量観測所 15:40 → 天狗小屋 16:15


4月30日 曇り後時々雨

 5:00起床。雨。朝食を済ませて朝寝。一時太陽が顔を見せたのにつられて二度目の朝食。しかしまた雨。雨にも負けず10:30先客氏と出発。昨日は月山が真近に見えたが、今日はカケラも見えない。視界の悪い中を約5時間で孤穴小屋到着。この小屋の位置はガスが出ていたら非常にわかりにくい。幸い着いたときはガスが少なかった。窓から小屋へ入る。内側の雪を除いてようやく入り口からの出入りが可能になった。全身雨と汗でズブヌレに近い。天狗小屋とは大違いで暗くて薄汚い。今日はスキーはただの荷物で役立たず。

【コースタイム】

小屋 10:30 → 二ツ石山 13:00 → 孤穴小屋 15:40


5月1日 雨、ガス夕方晴れ 停滞

 5:00起床。雨。がっかり。諦めて装備類を乾かすことに専念する。夕方になって晴れ間が見え出した。スキーをとって早速一滑り。本当に一滑りでガスが出てしまった。暫くすると今度は快晴となった。またスキーを担いで偵察のため北寒江山へ登る。前と後ろに朝日連峰の稜線が伸びている。あの月山が子分のように見える。三方境付近は素晴らしい斜面が広がっている。ゆっくり遊んでいたい所である。


5月2日 快晴夕方曇り

 5:00起床。喜び勇んで6:00出発。昨日の偵察でスキーは北寒江山へデポしておいたので荷物が軽い。しかし、稜線には雪がついてない。1588mピークからようやく滑ることができた。一緒に行動している先客氏が悔しがることしきり。下山したらスキーを始めるとのこと。 あっという間に竜門小屋着。二階建てでかなり古いがいい小屋だ。15分ほど休んで小屋を後にする。西朝日からの下りが素晴らしい。天気は良いし、気分は最高。中岳に着くと眼前には素晴らしい斜面が広がっていた。これがY字雪渓かとまずは満足。しかし内心明日の天気が心配だ。ジメジメした大朝日小屋で昼食を摂る。ここを通過していける所まで進んでおこうかとも思ったが、このY字雪渓を堪能しないで下山できようか。運を天に任せて一滑り、二滑り…腐れた雪だがまあまあ滑る。大朝日の頂上付近からと中岳頂上から入りソウカ沢へ向かっての斜面が素晴らしい。15:30で切り上げ小屋へ戻ったら、何と十数人が入っていた。
 早い夕食の準備をしながら天気図を書いた。何と、何とやはり低気圧が韓国と九州へ既に来ていた。がっかりして夕食を食べる。

【コースタイム】

小屋 6:00 → 寒江山 6:30 → 竜門小屋 7:45 → 大朝日小屋 10:30


5月3日 薄曇り→曇り→ガス

 朝の湿った斜面を一滑りしたい気持ちを押さえて4:40出発。予想通り天気は今日半日は持ちそうだ。昼までに葉山までいこうと足早に飛ばした。しかし、気分だけで結果はコースタイム通りでがっかりしてしまった。平岩山の北西斜面は絶好の一枚バーンだ。横目に見て通過する。御影森山を越えた辺りからスキーで下りれるようになり、1423mピークからの下り標高差240mはあっという間に滑った。ところが150mの登りがまっていた。中沢峰からはまたまた250mの下り。下りはヨイヨイ、登りはコワイの繰り返し。1275mの焼野平のピークに着いた時はもうフラフラ。約5時間が過ぎていた。だだっ広くて傾斜がダラダラの稜線をスキーの着脱の練習をしながら進んだ。1264.4mの三角点を見つけて現在地の確認が出来た。 もしガスが出たらとヒヤヒヤしながら8時間で葉山へ着いた。
 ここでようやく人に会えた。葉山山荘(神社もあり)で腹ごしらえをして13:15出発する。またまたダラダラの稜線が続いている。1201.2mの三角点からまたコースが不明確になってしまった。ガスも出てきた。半分今日は下山で着ないかもしれないという気分になった。
 必死になって周囲を見ていると、真っ直ぐな稜線(615mの記入あり)と半分ガスで見えないが、下界の中里に学校が二つ見える。これだけ確認して、やっと自分が929mピーク付近にいることが分かった。それから暫くして下山口の木札を発見した。やっと下山できると一安心。しかし道には雪で倒された細い木がいたる所かぶさっている。スキーが邪魔で通過にてこずる。しかし、山菜を取りながら中里のバス停へ16:30着。今日の行動時間は12時間。天気と競争だった。バスに乗ってから葉山方面を振り返ると、既に雲の中であった。 

【コースタイム】

小屋 4:40 → 平岩山 5:40 → 御影森山 7:20 → 1423mピーク 8:00 → 中沢峰8:55 → 1275mピーク(焼野平) 9:55 → 1264m 11:55 → 1237mピーク 12:15 → 葉山神社12:35/13:15 → 中里 16:30 



記:遠山、電子化:作野

【概念図】                                     


戻る
山スキー同志会のホームページへ

メールの宛先:
webmaster@ysd-jp.org