Last Update : Mar 11, 2012
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ラ・ネージュ山スキー記録集 I


  発行日 1980年11月1日

双六岳より槍ヶ岳縦走

1980年5月1日〜5月4日 

メンバー:小森宮、松森、梅原、長谷川

立山〜槍縦走には休暇が足りそうもなく迷っていたところへ、双六〜槍を滑ろうという長谷川氏の企画に、渡りに舟と参加。このコースは2年前に滑った太郎平〜双六につながるし、槍周辺の沢も興味のあるところだ。

4月30日


19:00上野集合。M20:53発急行『越前』に乗車。余裕で座れる。

5月1日 曇り→雪→曇り

新穂高までタクシーで入る。ロープウェイ駅前はひっそりとしている。眠い目をこすりつつ歩きだす。2年前双六から下ってきた時は1329mの橋までスキーで滑れたが今回は若干雪が少なく、わさび平小屋より先でやっと雪が出てきた。下抜戸沢、下丸沢出合には、やはり2年前には雪に埋もれて気付かなかった、立派な橋がある。ここから先はデブリがしばらく続いた。沢の中を大ノマ乗越へと登ってゆく数パーティを遠く見ながらゆっくりと歩く。上空はガスで稜線は全く見えず。

鏡平への分岐に着くころには急に寒くなって雪が降り出してきた。

鏡平への登りは途中から緩やかになり新雪で潜るのでシールで進む。1時間程で鏡平着。早速ツェルトを張る。小屋は雪の下なのか見えない。時間も早いのでスキーを付けて近くの斜面にトライ。松森氏が鮮やかなシュプールを描くが、湿雪の上の新雪はかなり深くなかなか手強い。

【タイム】 
5:55富山(神岡線)6:17神岡(タクシー、¥6280)7:06新穂高温泉(曇り)7:35→1329mの橋8:30/40→わさび平小屋9:05→下丸沢の橋9:30/50→秩父沢出合(1660m)10:40/11:00→鏡平分岐(1920m)(雪)12:40/50(2160m、シール)→鏡平(曇り)13:30 17:00夕食 19:00寝る。

5月2日 快晴→晴

朝食を済ませ、表に出ると抜群の天気だ。0℃と寒いがご機嫌で6:20出発。弓折岳へはかなりの急登でアイゼンを付ける。

素晴らしい。クラストした稜線を快調に進む。9:30双六小屋着。中へ入るが管理人等誰も居らず。荷物を置かしてもらいスキーを担いで双六岳へ向かう。ボコボコ足首位までの雪の上を1時間程で双六山頂へ。ここからは北アルプス南部の山々が見渡せる。記念撮影後スキーを履いて小屋へ。双六の斜面は前日の雪が湿りかけているが、曲がれないほどではなく、思い思いのシュプールを描き爽快に小屋まで飛ばす。

小屋に戻ったが管理人は未だ来ないようだ。数組の登山者とともにタダ泊りになる。

【タイム】 
4:00起床(快晴、シール)7:00(アイゼン付ける)→弓折岳8:00→双六小屋9:30/11:15→双六山頂(晴れ)12:20/55→(スキー)→双六小屋13:20 17:00夕食 20:00就寝

5月3日 晴

いよいよ今日は西鎌尾根より槍へ。アイゼンを付け6:20出発。

やはり今迄の尾根よりずっとヤセ尾根で、樅沢岳の南側などかなり切れ落ちていて緊張させられる。気を引き締めて稜線を辿る。9:00千丈沢乗越着。千丈沢の斜面にはだれの足跡も無く、滑り降りたくなるが、今日はまず肩の小屋までということで我慢する。ここからは飛騨沢から吹き上げる強風に煽られながらの登りで、こういうときだけはスキーを持たない登山者がうらやましくなってくる。肩の小屋直下の登りは、カリカリに凍っているところもあって緊張する。11:40槍岳山荘着。

長谷川氏、梅原氏、松森氏は槍の穂先を登りに行く。私は槍沢の斜面を見て早速スキーを履いて飛び出す。クラストした斜面はスピードが出る。

大斜面を滑るのは爽快だが、ここは登山者の足跡が多くてヘタに引っ掛けると危ない。2600m辺りまで降りたがキリが無いので小屋へ引き返す。

談話室の中で落書きノートなど見て過ごす。

【タイム】 
4:00起床(双六小屋)6:20出発→樅沢岳7:00→千丈沢乗越9:00→肩の小屋11:40/13:15→(アイゼン)槍山頂(3180m)14:05→肩の小屋14:45(長谷川、梅原、松森)、→(スキー)2600m地点(槍沢)13:30→肩の小屋14:30(小森宮)

5月4日 晴→曇り

今日は全員で槍沢を滑ろうと、朝8:00スキーを付けて小屋前から滑りだす。小屋直下の急斜面はまだカリカリとアイスバーンに近い。私がエッジを外して10m程スリップ。エッジを叩きつけてなんとか立ち直ったが冷や汗が出た。ここで長谷川氏の締め具(スノートレック)が壊れ50m程スリップして止まる。このまま滑れそうにないので、槍沢は断念するとのこと。私たち3人で滑るのは悪いような気がしたが、長谷川氏は小屋に修理に戻る。ここからいくらも滑らないうちに雪はクラストからザラメへと変わり、爽快な滑り。前日と同じ2600m辺りまで下る。小屋に戻って長谷川氏の締め具を針金で応急修理する。

昼過ぎから急にガスが出てくる。天気もあまり持ちそうもないので、飛騨沢より下山することに決定。飛騨乗越よりスキーを履くが、3日前の新雪が腐れ雪となって、折角の大斜面も、どうにも曲がらず斜滑降。2500m辺りまで、必死のシュテムターンで下る。この辺りからやっとザラメに近くなり快適に槍平小屋まで滑りこむ。しかし、ここから藪も現れ雪も切れて南沢出合よりスキーを担いで歩く。残念。

滝谷出合では岩登りの事故か、怪我人がスノーボートで運ばれてゆくのを横目に休む。ここから途中上に上がる道を見落として、白出沢からの林道に上がるのに堰堤脇を這い上がる等して1時間の道草を食う。

我々の足跡に続いてきたパーティもあったようで申し訳無し。

ここからは林道をひたすら新穂高温泉へ。17:35新穂高温泉着。中崎山荘で¥250也の露天風呂に入り、ビールで乾杯。のんびり1泊しようかという意見も出たが、間にあう電車があるのを発見。神岡までタクシーを飛ばし帰途に着く。

(小森宮 記) 

【概念図】
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