Last Update : Feb 25, 2012
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ラ・ネージュ山スキー記録集 I 


  発行日 1980年11月1日

立山

1980年6月7日〜9日

メンバー:菅沼L、今野

6月7日 晴のち曇り 雷鳥沢〜剣沢

前夜上野発の夜行列車で富山側から入山する。

5月15日に全線開通したアルペンルートの各駅は、軽装の観光客やスキーヤーで混雑していて、登山姿の人はあまり見かけない。美女平から乗り継いだ高原バスはガイド付きで、寝ぼけた目に飛び込んでくる大日岳、薬師岳の山々の説明をしていた。雪の消えた弥陀ヶ原には、水芭蕉の花がひっそりと咲き、ガキノ田が点在していた。室堂ターミナルに降りると、心配していた雪が現れてホッとする。遊歩道に沿って雷鳥平に向かうが、途中絶好の斜面を見つけたので、スキーを付けて幕営予定地まで滑りこむ。野営管理所付近の土の上にテントを張る。

サブザックに食料を入れて、ツボ足で雷鳥沢を登る。雪は堅く締まっていて場所によっては氷になっていたが、歩いた後もあって、登り易い。雪の消えた所は夏道を通って御前小屋に着く。

剣御前に続く尾根にもシュプールの跡が見えたが、先ずはスキーの先を剣沢に向ける。緩斜面なのだが堅雪でアイスバーン化していてスピードが出る。あっという間に剣沢小屋が見えてきた。

夜行の疲れもあるし、登り返すことを考えて野営管理所の所で折り返して登り、今度は雷鳥沢を滑ることになった。1時間ばかり休んだ後雪の着いている所まで下ると、ハイマツの中から尾の方が茶色になった雷鳥が飛び立つ。後で6月ごろは飛翔するのを知る。朝登って来た時は人影が無かったのだが、スキーヤーの姿も見られ、ニューフサジの横の斜面にはTバーがつけられゲレンデとなっていた。

雷鳥沢の斜面も堅雪で表面にブツブツ雪のかたまりが付いているが幅広のコースで快適。途中8ミリの撮影をしながらのんびりと雷鳥平へ滑り込んだ。

【タイム】 
雷鳥平10:25→御前小屋12:05/12:25→剣沢野営管理所12:35/12:55→御前小屋1:40/2:25→雷鳥平3:20

6月8日 曇りのち雨 雷鳥平〜富士の折立〜大汝山〜雄山〜一ノ越

昨夜は雨がばらついたので不安な気持ちで外に出る。空は大部分雲に覆われているが、ほんの少し青空が見える。

幕営地より大走りコースを通って立山連峰を目指す。この辺は人の通った様子が無い。先を歩くリーダーが急斜面をジグザグに登りながら足場を作ってくれた。雷鳥平でどこかのクロスカントリーのクラブが練習をしていて、その掛け声が四方の山にこだましている。稜線に出た頃、ガスがかかり今まで白と緑の美しいコントラストを見せていた山並みが視界から消える。ひたすら足元を見つめて歩く。富士の折立を過ぎると雪はすっかり消えてしまって、ガラガラの縦走路に入る。背中に担いだスキーがいわいぶつかり歩きにくい。大汝山の手前の休憩所が目に入ってホッとするが、妙な空模様なので先に進む。大汝山から切れかかったガスの合間に雄山の頂上に立つ神社が見えた。神社の鳥居をくぐるとコンクリート造りの社務所の前に出る。ガスが少し消え、目の前に展開する後立山の眺めは、それまでの嫌な歩きを十分補償するもので、しばらく見とれる。スズメに似た小鳥がチリリリと涼しげに鳴いて飛んで行き、かすかな春を感じさせる。夏は人でごった返すのだろうと思いながら静かな山の空気を吸う。山崎カールはいかにも滑れそうだが上部は雪も無く、そこまで下るのは大変そうなので予定通り一ノ越へ向かう。雄山からの降りは急で神経を使った。一ノ越山荘の前でまたまた一休みをしていたが、小雨がパラパラ降って来たので早々に引き上げる。山荘の横でスキーを付けて最初で最後の滑り。山崎カールの裾を巻くように滑る。小さな雪のブツブツが斜面を覆っていてあまり良い滑りではないが、まずまずのペースで幕営地に滑り込む。

【タイム】 
雷鳥平7:15→稜線8:55→富士の折立9:35→大汝山10:25→雄山10:40〜11:15→一ノ越11:50〜12:30→雷鳥平12:50

6月7日 晴のち曇り 雷鳥沢〜剣沢

今日は朝から大雨だ。滑る予定を取りやめ早々に室堂に逃げ込んだ。小一時間の間に全身ずぶぬれになってしまった。

(今野 記) 

【概念図】

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