Last Update : Feb 17, 2012
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ラ・ネージュ山スキー記録集 I 


  発行日 1980年11月1日

浅草岳・守門岳

1980年3月20日〜3月23日

メンバー:田中(み)L、重田、今野、佐田、作野

3月20日 曇りのち雨 浅草岳

小出5:36発只見線一番列車で大白川着。雲がどんよりと空を覆っている。曇ってはいるが雲は高い。遠くの山々がはっきり望まれ、どうやら今日は持ちそうだ。大白川駅から無雪の道路を20分歩き大白川部落に着く。部落のはずれから雪道となる。間もなく旧道、新道、沢沿いの道の3道が分岐するところで道を誤り、途中で新道に戻るべく急登のアルバイトをさせられる。新道は楽に歩けた。山の神トンネルを越し五味沢へ向かう。トンネルを過ぎてからはあまり踏まれていないためか膝まで没することしばしば。全員グッタリして浅草山荘前に着く。

旅館山屋小屋前に荷物をツェルトに包み放置し、浅草岳目指してサブザックにて出発。浅草山荘裏を通りムジナ沢へむかった。途中まで続いたトレースは消え、ワカンの後のみが点々と続く中、ムジナ沢に行きあたった。ムジナ沢には人の入った形跡はなく、雪質も悪いので沢に入るのが躊躇させられたが、長考の末12:00沢に滑り込んだ。沢の中は動物の足跡と赤っぽい動物の糞意外人の入った跡はなかった。12:30地図上の滝らしいところで昼食。このころからあられのようなものが降ってきた。ガスも周りの山々の頂きを隠し始めた。この時点で浅草岳登頂は断念し、13:30まで登ることに決めた。13:15頃奥の二俣らしきところに到着。ガスもかなり出てきたため、下山開始とし、13:30下山。今日初めてスキーで滑る。しかし雪質は湿雪の表面が固まったような大変滑りにくいものだった。皆悪戦苦闘して2:30PM山屋小屋前着。

この時点で雨。山屋小屋の窓が開いたのをよいことに本日のねぐらはここと決めてもぐり込む。

【タイム】 
大白川駅6:45→浅草山荘前着9:10/浅草山荘前出発10:00→ムジナ沢奥の二俣着13:15/13:30→山屋小屋着14:30

3月21日 雪のち曇り

5:30起床。外は細雪がシンシンと降っている。周りの山はガスってなく天気はよくなりそうだ。8:20出発。シールを就けて山の神トンネル8:40着。トンネル出口よりシールを外し、新道入口まで滑る。大原スキー場10:00着。スキー場売店のオヤジに、浅草岳に近い将来2本のロープウェイと10数本のリフトがかかり東洋一のスキー場になるとか、という話を聞く。10:30リフトに乗る。スキー場はほんの数人のスキーヤーがいただけで、よく空いていた。

11:00シール登高開始。雪はアイスバーンの上に雪が積もった形でエッジを立てると表面が崩れていく雪であった。尾根を行くのはかなりキツかった。次第に傾斜がきつくなり、12:00頃キックターンの際5mほどずり落ちてしまった。シール登高は無理とし、昼食後13:00アイゼン・ピッケルを装着し出発する。斜度約30度の表面が雨で固まったバーンを登る。慎重に、着実に一歩一歩登って行った。

14:00斜度が少し緩くなったところで雪洞を掘ることにする。雪洞は水分の少ない層と多い層がありはしたが、掘り易い雪であり、約2時間でほぼ出来上がり、内装完了が17:00であった。このころになるとガスも上がってきて、真下の大原スキー場、周りの山々がよく見えてきた。月も上空に見えてきた。夕方、スキー場の灯と右手には大白川の町の灯及び只見線の線路の灯がキラキラと美しく輝いていた。明日は晴れると心に信じ就寝9:00PM。

【タイム】 
浅草山荘前8:00→大原スキー場10:00/10:30→リフト終点11:00→ウサギ峰雪洞14:00

3月22日 曇りのち雪

3:30起床。今日は晴れと思いきや高曇り。しかし、稜線はガスが順調に上がりつつあった。6:15出発。稜線はすぐ近くだ。アイゼン・ピッケルが良く効いて30分で稜線に出た。ここからは大岳、守門岳の頭、それからズゥーと遠くに双耳峰、下方にはスキー場から大白川の町、360度の大展望であった。遠方の山はこの時まだはっきりと見ることができた。今日は次第に天気は下り坂とのこと。午前中に大岳に着かないと面倒なことになる。早速シールを付けて歩きだす。

9:05守門岳頂上着。ここで雪が降ってきて大岳付近もガスで見え隠れしている。小休止後9:40出発。アイゼン・ピッケルにて大岳まで行く。10:25大岳直下の鞍部に着く。小休止の後10:50出発。右手は大きな雪庇。それも亀裂が入ってきている。それを避けながらトラバース気味に登る。30度を超す急登のトラバースは表面がもろい雪質のせいもあり、かなり神経の疲れる作業であった。ピッケルが手元まで刺さり、それを頼りにして、確実な2点支持をと頭の中で繰り返しながら登って行く。11:50大岳頂上着。頂上は広く方向が定まらない。

小休止の後12:40待望の滑降に入る。皆今までの苦闘もこの一瞬で報われるという顔で嬉々としている。ここでやっと1人単独行者に会った。まだ1人もシュプールを付けていない真白な斜面に我々5人が思い思いのシュプールを描く。雪は脛の中程位潜る新雪。保久礼小屋まで30分、13:10着。水場があるのだたそれも雪のはるか下。小休止後13:50出発。

ここからが、雪の砂漠の行進。コースには赤旗が随所に立ててあるのでコースに迷うことなないが、ひと山登っては向こうの山にちらちらとはためく赤旗を見て恨めしく思った。越後の湿雪がボタボタと降ってくる中ビッショリと濡れて、道院ヒュッテに16:50着。そこの水の美味かったこと!今日の小屋は冬季無人小屋。泊るのは我々のみ。予定通り着けてホッとし、10:00PM就寝。

【タイム】 
ウサギ峰雪洞6:15→稜線6:45/7:10→守門岳山頂9:05/9:40→大岳直下鞍部10:25/10:50→大岳山頂11:50/12:40→保久礼小屋13:10/13:50→道院ヒュッテ16:50

3月23日 雪

6:00起床。昨日からの雪がすっかりシュプールを消していた。雪はドンドン降り続いている。視界も大変悪い。8:40出発。近くの山や木も見えない。地図とコンパスに頼る歩行。途中僅かに残ったトレースを見つけるも、それもすぐ消えてしまう。しばらく行って前方に何か動く影を見つけた時、ヤッタ!と思う。天の助け。これからの下りは湿雪にあえぎあえぎ七転八倒し、11:30栃堀着。久しぶりの人里。苦しい縦走であったが、心に満足感を持って帰京。

【タイム】 
道院ヒュッテ8:40→栃堀11:30

(作野 記) 

【概念図】

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