Last Update : Feb 16, 2012
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ラ・ネージュ山スキー記録集 I 


  発行日 1980年11月1日

苗場山

1980年1月12日〜15日

メンバー:藤谷、長谷川、郡司、針谷/(神楽峰まで)菅沼、梅原、鈴木

1月12日(土)晴

正月休み明けから降り続いていた雪も一休みし、今日は空一面真っ青に澄み渡っている。入山日にはもったいないような天気である。ロープウェイとリフトという機械力を駆使して楽々と和田小屋まで上がる。昔の1日行程のところが今では1時間半で行けるのだから、この点では西武資本に感謝すべきか。ところが、最後の第3リフトが客が少ないせいかなかなか動かない。今年新設の中間リフトがようやく動き始めるが、終点から先は傾斜がぐっと急になる一番大変なところである。2時間近くスキー練習をやりながら待ってたが、ついにしびれを切らして出発する。23キロの重荷を担いでの深雪のシール登高は、予定外のことだけに身にこたえた。機械力をあまり当てにしすぎると思わぬ報復を受けるということか。

リフト終点より300m程奥に入ってテントを張る。一休みした後、偵察とラッセルを兼ねて1時間ほど登ってみた。

【タイム】 
ロープウェイ駅7:30→第3リフトの下9:20/11:15→テント場(下ノ芝)12:20、偵察2:15〜3:45

1月13日(日)曇りのち雪

6:40予定より少し遅れて出発する。天気は高曇りで雪がちらつく程度である。昨日のトレースを辿って、半分の時間で偵察終了地点まで着く。ここからは樹林帯のラッセルが続く。スキーを履いて腿まで、吹き溜まりでは腰までもぐる。苦しいが、新雪に真新しいトレースを残すのはやはり甲斐のある作業である。

樹林帯を抜け、開けた中ノ芝まで出るとラッセルが少し楽になる。稜線に出て、3つ目のコブが2029m神楽峰のピークである。その直下でスキーをデポし、ワカンに履き替える。神楽峰から引き返す菅沼氏の一行と別れ、苗場本峰を目指して鞍部へ下る。ガスで視界はあまり良くないが、風が弱いのが幸いである。鞍部には吹かれると恐ろしい所もある。

鞍部の末端でワカンをアイゼンに替える。ここから先は雪壁と思われるような急斜面になっている。稜線右手の疎林帯を登り始めるが、雪が固まっていないため足場がすぐ崩れてしまい、なかなか前へ進めない。枝につかまったりしながら徐々に高度を上げて行く。疎林帯の先では稜線の左手沿いに進み、やっとの思いで頂上の一角にたどり着く。平坦な広々とした雪原が目の前一杯に広がっている。一休みしていた時,ウサギがぴょこんぴょこんと雪原を横切って行くのが目に入った。さすがのウサギもこの深雪ではスピードが出ないようだ。ホッと気持ちが和むような光景であった。

雪が深く腰までもぐるので、アイゼンの上にワカンを着けて山頂を目指す。下降点と途中の所々に標識を立てておく。どこが頂上だかはっきりしないまま、30分ほどで山頂ヒュッテに着く。(1:00)記念撮影を済ませ早々に下山を開始する。苗場の下りでは1ヶ所固定ザイルを使用したが、心配したほどではなかった。途中スキーを担いだ2人の登山者に出会った。今日は小屋の近くでビバークするという。

神楽峰への登り返しでかなり疲れてしまったが、早くテントに帰りたいという気持ちの方が強い。神楽峰からの下りは、シュプールの跡が溝のようになって続いている。雪が締まってきたうえ直滑降しかできないので、傾斜はゆるくてもスピードがどんどん出てしまう。時々、片方のスキーを脇へ乗り上げたり、ハの字に開いたりして制動をかけながら降りる。5:05、暗くなる直前にテントにたどり着くことができた。

【タイム】 
出発6:40→中ノ芝7:30→神楽峰(デポ地)8:25/9:10→鞍部の末端10:25/11:05→頂上への出口12:20/12:30→苗場山頂(山頂ヒュッテ)1:00/1:20→デポ地3:50/4:10→テント場5:05

1月14日(月)雪時々晴れ間

今日は休養日。スキー練習と8ミリ撮影をして一日を過ごす。

1月15日(火)雪

テントを撤収し、8:30に下山を開始する。第3ゲレンデはまだ誰も滑ってはいない。20センチ程の新雪が積もっていて、負荷が無ければ快適な新雪滑降が楽しめたところだがと少し残念な気持ちがする。斜面一杯に、大きくゆっくりとシュプールを描いて滑り降りる。和田小屋から先は、圧雪されたゲレンデを一気に下る。
【タイム】 
出発8:30→ロープウェイ駅の上9:40

(長谷川 記) 

【概念図】

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