Last Update : Feb 05, 2012
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ラ・ネージュ山スキー記録集 I 


  発行日 1980年11月1日

上州武尊山

1980年3月1日〜2日

メンバー:L藤谷、針谷、田中

3月1日 雪

沼田で車を頼んだらタクシー事務所で仮眠させてくれた。くもり空の中、今年オープンの牧場スキー場に向かう。終点でタイヤが雪にめり込み図らずもスコップが役立ち、スキー客の車も立ち往生したので皆で動かすハプニングに苦笑する。

リフトに乗ったらとうとう雪が降って来た。リフト終点9:30。シール付け9:45出発。生温かい南風が吹いている。15分ほどで1947三角点に着く。

ここは牧場で所々に休憩所が見られる。この辺は緩やかでスキーハイキングには最適だ。道標が顔を出しているが、だだっ広い尾根なので左の稜線を外さないように進む。

やがてシラビソ帯に入り、見過ごしそうな所に小さな避難小屋を見つける。パン・紅茶を詰め込み前進する。次第に尾根が細くなり雪庇とシュカブラで非常に歩きにくくなる。

ボタ雪から北西に風向も変わり、吹雪きも激しくなり、ルートファインディングもやって大変になって来たので、14:30行動中止する。

大きすぎる程の雪洞が完成し、外は荒れ狂って恐ろしい程だが、雪の中は静かで、のびのび足をのばし快適に良く眠れた。

【タイム】 
武尊牧場スキー場リフト終点9:30/45出発→避難小屋12:10/50→行動中止1860m地点14:30→雪洞完成16:30

3月2日 地吹雪〜晴

5:40起床。入口完全に埋まっている。外界と通じさせるのに苦労した。ガスと地吹雪激しく、動ける状態じゃない。出発遅くなり9:45前進とする。

次第に傾斜きつくなり、堅雪でシールもずれてしまい「あぶない、アイゼンと出さなくては」と思っている矢先、案の定、田中3m程落ちる。大木のそばでアイゼン装着。ザイルを付けて、板を背負う。稜線近くで、ズブズブ潜ったが稜線に出ると風が強く、頂上は、這いつくばっても飛ばされそうである。ザイルがピーンと張って風に唸りをあげている。

青空が広がってきて360度の展望に苦労のかいがあったと喜びあう。Lの誘導でピークを僅か下ると、嘘のように風が無く、樹のもとでは、陽光が背にあたりホッとする。

15:03滑降開始する。夏道は悪いので、ピーク直下から北に鞍部まで滑り西にトラバース1750m付近で須原尾根に沿って、避難小屋分岐に出る。

ここまでは沢通しに来れば早かったことを納得する。これから登りの出てきたことにがっくりする。シールを付け1時間で上の原分岐に出る。湯の小屋雪を変更し、久保に下ることにする。尾根を滑って沢に入る。やや狭い沢なので緩斜なのだが、転んでばかりいる。

疲れと板を短くして初めて履くスキーとライトがポケット内で点いてしまっていたため使うときは蛍の光で尾根の頃から転倒の連続。深雪にのめってしまうため体力消耗悪循環である。

明るい時なら楽しい滑りが続くところだろうに。長い長い滑りに感じた。何時になったら上の原に出るのだろうと。やっと灯が見えてきて、私は心身とも疲れはて20:00山の家に着いた。上野には、早朝の列車で到着した。

【タイム】 
出発9:45→2000m付近11:00アイゼン装着12:00→稜線12:30→頂上14:15→頂上直下樹林着14:25滑降開始15:03→避難小屋分岐16:30/45→上の原分岐17:30→上の原山の家20:00

【概念図】はこちら

(田中 記) 

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