Last Update : Jul 13, 1998

『1/25000 地図の読み方』を読んでみて
                 小森宮 秀昭


 ・感想   ………………   (高度計に関しての見解の相違など....)
 ・地形図から斜面の傾斜角度を求める(傾斜角度 vs 等高線間隔 対照表)
 ・磁北線の引き方         (西偏角度 vs h寸法   対照表)
 
《感想》 『1/25000 地図の読み方』 著者:平塚 晶人  出版社:小学館
 基本的には夏の尾根歩きを主な対象として書いてはいるが、その地形図によ る現在地確認など、非常に興味深く読むことが出来た。地図というものは、こ こまで細かく念入りに読込むものなのだということを認識させてくれる。特に コンパスの使い方に詳しいので参考になると思います。また地図読みの具体的 なサンプルとして別冊で 1/25000地図をそのまま掲載するという方法は見易い。

 ただこの本の筆者の意見では、高度計などあまり信頼するに足りないという 意見のようだが、これはちょっと違うのではないかと感じた。というのは確か に読図力を養成するには筆者のいうように地図とコンパスだけで地形を判断し て現在地を特定するという方法は良いとは思うのだが、我々の経験では実際に 山の中でガスに捲かれた時など高度計が非常な力を発揮してくれたのを数多く 経験しているからです。我々の会ではここ20年以上に渡りスイス・トーメン 社製の精度±10m と言われるものや、バリゴ社製などを使用して来ていますが、 その使い方(主にポイント地形での高度補正の実行)さえ間違わなければ、こ の本の筆者のような高度な地図読みの能力程では無い者でもかなりな精度で、 現在地の確認の強力な助けとすることが出来ると思うのです。とは言っても、 行動中は常に現在地の特定をポイント毎にしていなければ、ガスの中でいきな り高度計を出しても現在地がさっぱりわからんということになってしまいます のであくまでも、地図とコンパスによる現在地特定の補助手段だということを 認識しておかなければなりません。むしろ視界の有るあいだにこそ、高度計を 現在地確認に生かすと同時に、ポイント地形毎に高度計の補正をしておかない と迷ってから高度計を出しても補正が効いておらず信頼出来ないということに なるからです。(原理が気圧計なので天候の変化によりずれを生じるため)
 前記した高度計以外に例えばカシオの高度計付腕時計『プロトレック』など を使う人も出て来ました。精度に関して正確なところはわからないのですが、 山での指示値を比較してみた範囲では、機能的には問題無いようです。 何れにしろこれらの高度計を使用することによって、かなりのガスの中での行 動でも現在地確認に大きな力になることは、ご存知の通りだと思います。

 それから筆者が言っている斜度の感覚は確かになかなか身に付かないとは言 うものの現在地の斜度をあらかじめ数値で認識しておくことによってかなりな 程度磨くことが出来るのではないかと考えます。まあ絶対的な斜度の感覚は身 に付かなくても、あらかじめの地図読み段階に対象斜面の斜度を数値で認識し ておくことは、山スキーヤーにとっては実際に役立つものだと思うのですが。

・地形図から斜面の傾斜角度を求める(傾斜角度 vs 等高線間隔 対照表)
 太い方の等高線(主計曲線)の間隔をものさしで測るだけで斜度θがわかる。
  【 L寸法 = 50m 毎の太い等高線(主計曲線)の間隔 mm 】
  【 h = 50m x 1/25000 = 2mm】【斜面の傾斜角度 θ deg 】
  上記の関係式: h = L * tan θ により
  傾斜角度θ vs  L ← 1/25000地図上での主計曲線の間隔 mm

・磁北線の引き方         (西偏角度 vs h寸法   対照表)



 更に、磁北線の引き方は、以前にも書いたことがあるのですが、この本の筆

者の方法のように分度器ないしシルバコンパスの角度設定盤を使う方法よりも

地形図の縦方向の寸法が緯度が違っても±0.5mm 程度の差しか無いことから、

中学の代数計算で習った h = L * tan θ の関係式により、L に 1/25000地形

図の枠の縦寸法 370mm、θに当該地域の 1/25000地図の記事欄に記載されてい

る西偏角を代入して求められる h寸法を地図の右上端から左の方向にマーキン

グして、この点と枠の右下隅を結んだ線を引いて磁北線(の基準)とし、これ

に平行に40mm毎(1kmに相当)に平行線を引いて磁北線とする方法が簡単に

精度良く磁北線を引く方法ではないかと思います。



 《西偏角θ :  h 寸法 対照表》




  θ =  5.0   h = 32

    θ =  6.0   h = 39

    θ =  7.0   h = 45

    θ =  8.0   h = 52

    θ =  9.0   h = 59

    θ = 10.0   h = 65

    θ = 11.0   h = 72



                   


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