Last Update : 2017/12/24 戻る

宮之浦岳、永田岳

【日程】2017年10月23日(月)〜27日(金)

【山域】 屋久島・黒味岳〜宮之浦岳〜永田岳

【構成】 田中秀和 (単独)

 計画を立てたのは8月末、混雑と台風回避を狙い11月初めの連休前の格安航空券を押さえた。しかし、行きも帰りも台風に脅かされたしまった。その中で、稜線歩きとなる淀川口〜高塚小屋までは好天に恵まれラッキーであった。

10/23(月)
 台風21号が960hPaの勢力を維持したまま東京を通過したのが朝の6時頃。前日から欠航が続いていた羽田発鹿児島行きは搭乗予定便からは運航再開の予定と知り羽田に向かう。

 搭乗ゲートが数回変更され、出発遅延の時間がアナウンス毎に長くなった。台風通過後の強風で滑走路は1本のみ供用、当初の予定機は羽田に降りれず伊丹に!2時間半待っての代替機に乗り込むも駐機場から動けず30分経過、静止している機体が時折風で揺れる。

 結局、鹿児島空港着は3時間以上の遅れ、振替え手配された屋久島最終便も出た直後。ANAが翌朝一番の便を手配、用意された空港直近のホテルに落ち着く。

 明日は予定一部変更、午後の紀元杉行きバスに乗り淀川小屋まで入ることとする。明日も天候はさほど良くなさそう・・・離島の山登り焦っても仕方ない。

10/24(火)
 鹿児島空港は雲が多いも晴、屋久島空港は少し重い曇り空、山は雲の中。空港でガスカートリッジを入手、観光案内所にて環境保全金を納め、登山計画書を提出、直近の情報を聞く。路線バスにて安房に出て食糧調達、昼食後バス時刻まで時間があるので自然館まで歩く。

 紀元杉のバス終点に降りたのは12〜13人、山のガスは晴れず時折雨粒が落ちる。30分程先の登山口の駐車スペースには5〜6台が駐車、淀川小屋利用者は定員以下に納まりそうで一安心。濡れて滑り易い木の根に注意しながら歩き出す。30分強で清流の辺に建つ立派な淀川小屋に着く。先着者1人、バス組が11人、遅れてガイドツァー8人と単独行1人の計21人が今夜の客。小雨の中、狭いテラスでお互い譲り合って夕食準備と小宴会。

<タイム>→は車など、>>は歩行
鹿児島AP 9:45 →JAC3741→ 9:45 屋久島AP 10:23 →バス→10:42 安房(昼食・買い物)12:30 >> 13:10 屋久島自然館 13:39→バス→14:32 紀元杉(1,240m) 14:40 >> 15:10淀川口(1,360m) 15:15 >> 15:50 淀川小屋(1,380m)・泊

10/25(水)
 星が見え隠れする朝、4時前から出発準備で小屋内は騒がしくなる。5時半の出発はもう最終グループ、だが未だ外は暗く暫くヘッデン歩行、予報通りの青空は広がらず朝焼けも暗い。

 猿が遊んでいた湿原の花之江河を過ぎ、黒味岳分れはザックをデポする乾いた場所もないのでそのまま黒味岳に向かう。樹林帯から花崗岩の大きな塊が現れるようになり、シャクナゲや草地となって視界が広がり高山らしくなる。黒味岳山頂は大きな岩の上、先程の花之江河や宮之浦岳等々も見渡せるが厚い雲が鬱陶しい。風が吹き出し冷たくなったので雨具を着込む。

 黒味岳分れに戻り宮之浦岳を目指すが、雨の島らしく登山道は至る所が小川状態である。8時を過ぎて漸く太陽の光を浴びるようになり、投石岳南の鞍部に乾いた花崗岩の岩棚を見つけ休憩、久し振りの乾いた場所は気持ちが良い。

 安房岳、翁岳を巻く小さなアップダウンの続く道も稜線部であるのに湧水豊富である。できる限り泥田の道を避け随所に現れる花崗岩の岩肌を選んでフリクション頼りに歩く。いつの間にか雲が消え快晴状態になり気温も上がってきた。

 奇岩と洞が崇敬の念を抱かせる栗生岳を過ぎ、そのまま登り続けること15分で宮之浦岳着。山頂からは永田岳の後には一昨年噴火し島民が全員避難となった口之永良部島と噴煙たなびく古岳(新岳)が望めた。気持ちよい山頂で昼食大休憩、程なく岳参りの一行が到着して賑やかになった。その数は約10人、彼等は宮之浦地区の人々、自薦他薦で選ばれた人が春秋の2回、永田、宮之浦、栗生と三岳を巡るとの由。

 草付きの急斜面を下り焼野三叉路にザックをデポ。永田岳直下の鞍部までは草に覆われ足元も見えない道が続くも、岩混じりの急斜面の登りは快適であった。ここから見る宮之浦岳は立派である。

 永田集落の海岸線、口之永良部島が見え離島の山を実感する。

 焼野三叉路から平石までは草原の中を下り一辺倒、陽当たりの良い場所では本州よりも一回り小さな鹿が草を食んでいる。朝の猿もそうであったが、彼等は近寄ってカメラを構えても一定の間を保ちつつ逃げ出さない。

 永田岳や宮之浦岳の好展望台である平石岩屋を過ぎると道は尾根筋を辿る下りとなる。今回と逆に高塚小屋から淀川小屋へと反時計回りに巡る方が眺望的に勝っている・・・公共交通機関頼りでは計画が組み難いのだが。

 次第に樹林の背丈が高くなり、夏椿に似たスベスベした木肌のヒメシャラの樹林帯の尾根道から急斜面を降りると湿原の中に建つ新高塚小屋にでた。よく手入れされた小屋には未だ誰も入って居ない。水は豊富、反面湿気が気になる。時間は未だ14時なので新装なった高塚小屋に向かう。

 小高塚山を巻くように暫くはダラダラとした尾根道を進んだ後、100m程急降下した高塚山との鞍部にモダンな高塚小屋は建っていた。小屋の定員は20人弱か、最上階3階に陣取り縄文杉まで水汲み、テラスで小宴会、水が温く持参のビールを冷やせなかったのが残念。

<タイム>
淀川小屋(1,380m) 5:30 >> 7:00 黒味岳分れ(1,579m) >> 7:30黒味岳(1,831m) 7:40 >> 8:05 黒味岳分れ >> 8:20 投石岳南の鞍部・休憩 8:30 >> 9:45 栗生岳(1,867m)>> 10:00 宮之浦岳(1,935m) 10:20 >> 10:35 焼野三叉路(1,784m) >> 11:20 永田岳(1,886m) 11:30 >> 12:05 焼野三叉路12:15 >> 13:45 1,575m点・休憩13:50 >> 14:05 新高塚小屋(1,465m) >> 14:55 高塚小屋(1,330m)・泊

<10/26・木>
 今日はすっかり明るくなってから出発。縄文杉のテラスで野宿する中高年6〜7人のシュラフの間を通り抜ける。群を抜く巨大な杉ではあるが幹に近づけないので実感が湧かない。夫婦杉、大王杉と巨木が現れる度に小休憩を繰り返し、ウィルソン株にて大休憩。未だ観光客は誰も登ってきていない。切り株の中に入ると、左側に小さな洞が祀られ、奥から右手前に小川が流れ、天を仰げば周囲の大木が円形に縁取る小宇宙が広がっていた。

 枯れて倒壊した翁杉を過ぎた頃から登ってくる人が増えてきた。大株歩道入り口から森林軌道敷歩きとなるが、視界から人影が途切れることがない程の人出、欧米系の外に韓国や中国系の人も多く、単独の女性バックパッカーも散見。

 楠川分れで早めの昼食休憩。荒川口までの所要時間は1時間半弱、しかし、バスは15時までは無い。雲は低くなってきているが未だ雨の心配は無さそうなので予定を変更し白谷雲水峡に出ることにする。これまでと打って変わり人通りの無い静かな道を登り辻峠にザックをデポ、太鼓岩に寄り道する。ここは花崗岩の路頭で屋久島主稜の展望台だが、ガスって今一の眺望。 白谷雲水峡へは小川の中を歩く場所が多い。白谷山荘を過ぎてからは再び人通りが多くなった。川沿いの道は桟道が多く、その少々傷みが目立つ桟道上に10人程が立ち止まりガイドらしき人が何やら説明してなかなか動き出さない。立ち止まって彼等の通過を待つが一向にお構いなしである。世界遺産観光で繁盛は結構だが、何時か事故が起きそうである。

 12時発のバス時刻が迫っている。急ぎ足となると行き交う人の多さが邪魔になる。下るほどに道が太く良くなってきたのに救われ、発車時刻10分前に到着。川に下りストック、靴を洗っている間に小雨が降り出し滑り込みセーフであった。楠川歩道(奉行歩道)で楠川に出るコースは諦め、安直なバス乗り継ぎで楠川温泉に向かうこととする。

 バスはほぼ満員、小生以外のお客さんは欧米系の外人さん。宮ノ浦川縁の「小原町」で下車、30分弱の待ち時間で「大川の滝」行きに乗り継ぎ、「湯の川温泉」で下車。徒歩5分強で楠川温泉、受付は若い別嬪さん。地域集落経営の沸かし湯だが料金は300円、4人程度しか入れない小さな浴槽を独り占め、アルカリ性単純泉で汗を流す。
 <タイム> 高塚小屋 6:50 >> 6:55 縄文杉 >> 7:15 夫婦杉 7:20 >> 8:05 ウィルソン株8:15   >> 8:35 大株歩道入口(910m) >> 9:30 楠川分れ(727m) 9:50 >> 10:40 辻峠(979m)・太鼓岩往復11:00 >> 11:20 白谷山荘(825m) >> 11:50 白谷雲水峡バス停(615m)12:00→バス→ 12:25 小原町バス停 12:55 →バス→ 13:05湯ノ川温泉バス停(楠川温泉入浴)14:25 →バス→ 14:45 安房・泊

<10/27・金>
今日は帰京日、14時10分の便までレンタカーで滝巡り。因みにレンタカーは軽で半日が保険・税込み、空港乗り捨てで4,320円、ガソリン代は715円であった。千尋の滝、トロ−キの滝は晴れ間もあるがガスが流れ小雨もという忙しい天気、尾之間からは晴れて栗生の先にある大川の滝では蝉の鳴き声を聞く。帰路は尾之間を過ぎると再び雲が厚くなり安房からは雨、空港に着くも未だ10時なので宮之浦探訪も急に雨が強くなる。

 強雨の中12時前空港に着くと、「天候不良のため到着便の・・・、欠航が生じる・・・」との掲示板の張り紙に嫌な予感が走る。雨風は依然として強く、往路に続いて今度は台風22号の接近で折り返し便は着いたが一向に搭乗案内が無い。

 漸く40分遅れで屋久島を飛び立ち、鹿児島では機内への搭乗案内中の係員の元に走り、何とか○○分遅れとさせてしまった羽田便の機内に収まる。山歩きより疲れた!。 以上

<ルート図・GPS軌跡>


<写真>












<参考・費用概算(除く飲食)>
 航空券(羽田〜屋久島往復)43,680円 、 環境保全協力金      2,000円
 島内バス代         2,550  、 入浴料(楠川温泉)     300
 ホテル・素泊まり  5,000  、 レンタカー(燃料代込み) 5,035
 JR+モノレール(往復)  2,820
 *****************************************
  計 61,385円

記:田中秀和

 


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