Last Update : 2017/10/09 戻る

鹿島槍ヶ岳〜五龍岳

2017年9月8日(金)〜10日(日)

参加者   単独 田中秀和

9月8日(金)

 あきる野ICを4時50分、信濃大町駅前着は7時30分とほぼ予定通り。駅前で客待ちのタクシードライバー氏に予約内容を告げ駐車場に案内して貰う。往復または周回コースが採れない場合は、登山口までのアクセスに片道をタクシーとする場合が多い。また、登山口の駐車場は、その容量、立地および天候や時間帯によってはアクセス上の安全性に不安を感じる場合が往々にしてある。その点、このタクシー会社(アルプス第一交通)の車預かりサービス(タクシー利用者に無料で)は有り難い。

 大谷原までのタクシー料金は5,700円、雨上がりの駐車場には渓流釣りらしき2人組と砂防ダム工事関係者の車2台が先着しているも登山者の姿は無し。8時20分、西俣出合を目指し大冷沢左岸の工事用道路を歩き出す。雨上がりで樹上からは滴が絶えないが小一時間もすると青空が見えだし、残雪を抱える主稜線の山肌も見えてきた。西沢を分ける二岐のやや上流、北俣本谷の砂防堰堤体の中に造られたトンネルを抜け、赤岩尾根夏道登山口の標識着9時20分。

 少し水平に巻いた後、高千穂平への急登にかかる。木製梯子の傷んだ箇所は工事現場の足場ステップで補修されるなど予想外に良く整備されていた。後刻、冷池山荘の男性軍の奮闘によるものと小屋フロントの女性から聞いた。樅や松の大木が根を張る大岩が階段状に現れて急登も終盤となり冬の前線基地となる高千穂平に着く11時25分。この登りの感じは八海山や越後駒の南面の登りと似ている。視界は開けたが峰々にガスが纏わり付き山名同定はできない。 やがて、緩い尾根道となり樹林も灌木帯から這松が混じるようになり、冷池乗越着は12時45分。爺ヶ岳北峰の斜面が意外と大きく迫ってくるが全容は見えず、鹿島槍もガスの中、直近の冷池山荘だけ浮かんでいる。暫くガスの晴れ間を待つも変わらず、小屋に荷を下ろしてからビールを飲みながら待つことにする。13時10分冷池山荘着。

 小屋番や同宿した人の話では、明日から久々の好天の週末でありキレット小屋、五竜山荘は大混雑との情報。この夏のハイシーズンが1ヶ月以上雨続きであった反動であり、小生もその1人なのだ。最悪の場合は遠見尾根を神城に下山を覚悟、早立ちを決める。

<タイム> 大谷原登山口(1,130m)8:20−9:20西俣出合9:25−11:25 高千穂平(2,049m)11:40−12:45 冷池乗越 12:55−13:10冷池山荘(2,410m)泊

9月9日(土)



 4時起床、満天の星空、微風。布引山で御来光を仰ぎ見ながら朝食をと4時40分出発。冷池山荘では4時からお弁当や水を提供してくれる。布引山直下のコブで御来光となったので朝食休止。久し振りに朝焼けの大雲海を見る。

 北アの峰々が頭から胸元まで順次朝日に照らし出されてゆく至福の時間帯、鹿島槍への登りも苦にならない。6時30分南峰着、北から毛勝、剱、立山、薬師、遠く槍穂、手前に蓮華、針ノ木、爺ガ岳、東に浅間から北信の山々が連なる。そして今日行く北峰からキレット〜五龍の稜線、後に白馬の山塊が続く。写真三昧の大休憩。

 7時10分、北峰に立つ。初めて立つ北峰からの南峰は大きく鋭く見応えがある。覗き込む北壁・残雪豊かなカクネ里も大迫力、必見の価値ありと思う。5分程で縦走路に戻りキレット小屋へ、特段に危険箇所は無いが急降下ではある。キスリング時代は幅広のザック故に苦労したであろう岩戸のキレット、所々の梯子、鎖場も難なく8時10分キレット小屋着。





 剱の展望台と言える小屋前のベンチで大休憩、北峰から一緒だった20代の若者2人の先立ちを見送る。五竜までは体力消耗戦だが、今日は所々に霜柱が残るほど気温が低く助かる。しかし、若者とは次第に引き離されてゆく。9時10分口沢のコル通過、9時40分北尾根の頭1段下の展望の良い場所で休憩とする。最後の五竜への登りを控えて気分転換、リンゴを囓り、靴紐を調整する。振り返ると、北斜面である鹿島槍は緑が濃く、この先の南斜面である五龍は無機質の岩肌とは、五龍の方が険しいのか?

 9時55分北尾根の頭発、G5、G4を越え、五龍の最後の急斜面に先行した若者を発見、その差は30分程か、自信の体力の衰えを認めざるを得ない。壁登り状態の急登が30分程続き大石が点在するザレ場になってくると傾斜が緩み山頂部となる。11時40分五龍岳に到着、山荘方面から登ってくる人が多く急に賑やかになった。 

 五龍岳山頂は意外と休む場所が狭く、5分程して五竜山荘へと下る。小屋番に今夜の状況を聞くも“1畳に2人は必至”と芳しくない。然もありなん、山頂部に20人、下りてくる間に50〜60人、そして小屋の周囲にも50〜60人は居る。休憩している間にテン場もどんどん埋まってゆく。時間はまだ12時半、当然これから小屋に到着する人も多いだろうし、キレットに向かうにはもう遅く、唐松に向かう人が多い様には見えない。宿の不安はあるが、汗臭いマグロ状態はご免被りたいと下山を決める。

 西遠見までは結構厳しい下り。擦れ違う登り組が多く100人は超えたか?疲れが溜まってきたので待ち時間は好都合の休息時間。13時30分西遠見通過、大遠見着は14時10分と標準タイム並となる。

 何度も歩いた道だが小遠見が中々近づかない。何人もの人に追い越されその後ろ姿が小さくなる。14時40分中遠見通過、15時00分小遠見通過、15時45分地蔵ノ頭着とかろうじて標準タイム以下でクリア。

 もうゴンドラ“テレキャビン”の乗り遅れの不安もないが歩きたくない。アルプス平駅まで展望リフトで下山!観光客も疎らとなった山麓駅・エスカルプラザ着は16時30分。トボトボとペンション村を通り抜けて神城駅へ、16時46分発の信濃大町行きが目の前で発車していった。駅西側に出入り口があったらと嘆いても遅く、今日は神城泊まりにしなさいという天のお導きであろう。駅窓口内の観光案内所に宿を探して貰う。

 紹介された宿が大正解、先ずは大きく清潔な風呂で汗を流す。次は冷えたビール、自販機は昨日までの修学旅行生向けでアルコール販売停止、そのお陰で調理場の冷蔵庫から地域限定品をゲット。勿論、ご主人・奥様の人柄や料理、(朝食も)申し分なし。山小屋との比較は適切で無いが、これで7,300円也・・・頑張って下りてきて良かった!

<タイム> 冷池山荘4:40−5:35布引山(2,683m、直下)5:50−6:30 鹿島槍ヶ岳南峰(2,889m)6:45−7:10 北峰(2,842m)7:15−8:10キレット小屋(2,470m)8:20−9:10口ノ沢のコル(2,416m)−9:40北尾根ノ頭(2,560m)9:55−11:40五竜岳(2,814m)11:45−12:25五竜山荘(2,490m)12:35−13:30西遠見山(2,268m)−14:10大遠見山(2,106m)−14:40中遠見山(2,037m)14:45−15:00小遠見山(2,007m)−15:45地蔵ノ頭15:50−16:15アルプス平(1,530m)16:20→−16:55 神城駅(745m)−17:15 宿

9月10日(日) 

 7時56分発の列車に合わせて朝食。今日も良い天気だ。神城駅までは僅か5分弱。2両編成の電車に揺られ30分、何時もの車からとは違う景色を楽しみ信濃大町駅に。駅前のタクシー会社で車の鍵を受け取り帰途につく。夏の最盛期は20台ほどは止まれるスペースも一杯になるそうである。

<タイム> 省略



記:田中秀和

 


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