Last Update : 2016/09/25 戻る

ヨーロッパ・アルプス モンテ・ローザ連峰

ノルトエント Nordend 4609m

ツムシュタインシュピッツェ Zumsteinspitze 4563m

ジグナールクッペ Signalkuppe 4554m

パロットシュピッツェ Parrotspitze 4432m

バルメンホルン Balmenhorn 4167m

ヴァンサン・ピラミッド Vincent Pyramide 4215m

2016年7月31日 - 8月9日

メンバー:西川

 今回はカタール航空を使用し、ザース・フェーに滞在して当初は難関のダン・ブランシュとレンツシュピッツェを計画していた。降雪で山のコンディションが悪いのでモンテ・ローザに変更して4000mを稼いだが、これもこの次ぐらいに行きたい山だった。

7月31日(日)  羽田 -> ドーハ -> ジュネーブ -> ザース・フェー SaasFee 曇りのち雨 

 羽田発0:30のカタール航空QR813便で出発、カタールの首都ドーハのハマド国際空港でQR099便に乗り換え13時前にジュネーブ空港着。スイス連邦鉄道(SBB)でフィスプへ、ポスト・バスで18時過ぎにザース・フェーに着いた。ホテルはツーリスト・オフィス経由でCarpe Diemを予約していた。雨が降ってきたのでホテルから荷物の送迎に来てもらいたいが、携帯が動かない。駅前のツーリスト・オフィスに行くと閉まっていたが、入口前にいた女性が親切な人で電話してもらった。

 ホテルで山岳ガイドのクルト・アーノルトに連絡し、彼が来て今後の計画を相談した。変わりやすい天気で雨が降りやすく、下界で雨なら山は雪である。岩場のルートでは乾いた岩と雪の付いた岩とでは大違い、計画していたダン・ブランシュとレンツシュピッツェは止め、モンテ・ローザ連峰にほぼ決定したが、なんとヘリコプターを使うので予約の確認の必要もあり、明朝再度相談することにした。

8月1日(月) 曇り ハーニク〜メーリク

 クルトと再度相談し、モンテ・ローザの4000峰9座のうちまだ登っていない南部の5座と一番北のノルトエントに行くことにした。8月2日〜3日でイタリアのアラーニャからモンテ・ローザ南部のピーク5座を縦走する。8月4日に日帰りでツェルマットからヘリコプターを使ってノルトエントに行く。ヘリコプターの料金はとても高いがガイド料金はさらに高いので、小屋泊まりで行ってガイドを二日雇用するより、ヘリを使って一日で行くほうが安い。

 ザース・フェーというよりザースの谷全体で、ホテルの客にシチズン・パスをくれ地域のバス、ロープウェイはすべて無料になる。昨日が長旅だったので、今日は軽くハイキング。シチズン・パスを使ってロープウェイでハーニクに上がり、メーリクからギビドゥムヘ。曇って展望はあまりない。時間があるのでザース・フェーまで歩いて下った。今日はスイスの建国記念日なのでザース・フェーでもコンサートやパレードのイベントがあった。

[コースタイム]
ハーニクHannig 11:20 -> メーリクMaellig 12:03 -> ギビドゥムGibidum 12:20/13:00 -> ザース・フェー 15:30

 ザース・フェーとミシャベル山群

8月2日(火) 曇り ザース・フェー -> アラーニャAlagna -> プンタ・インドレン -> ニフェッティ小屋

 ザース・フェーバスターミナルに8時集合、ここからイタリアのアラーニャまでクルトの車で行くが4時間の長さ。ザースの谷から直接アルプスを越せないので一旦下ってローヌ川の本流のフィスプへ出、ブリークBrigからシンプロン峠を越えてイタリア側に出、その後も延々と長い。アラーニャに12時に着いた。ロープウェイを3本乗り継ぎ、3260mのプンタ・インドレン。ここからインドレン氷河を北西にトラバースし、岩尾根を少し登り、左のガルステレ氷河を登ってニフェッティ小屋。

かなり大きな小屋で、普通アルプスの山小屋は一階に登攀具を置き、二階が食堂兼過ごす場所だが、ここは二階の過ごす場所とは別に三階にきれいな食堂があった。さすがにイタリアは食を重視しているのか。二階には携帯の充電コーナーもあり携帯も通じるようだ。今日の客は170人だそうだ。

[コースタイム]
プンタ・インドレンPunta Indren 3260m 13:05 -> ニフェッティ小屋Rifugio Gnifetti 3647m 14:20

 ニフェッティ小屋


8月3日(水) 午前快晴、午後曇り モンテ・ローザ南部縦走

 朝食は4:30だが、前夜クルトが早く出発すると言っていた通り、3:00に起こしにきた。朝食を摂り、3:50出発。ガルステレ氷河からつながっているリス・オリエンターレ氷河を登り続ける。傾斜は緩いがやはりクレバスはある。前方に一パーティあり、我々は二番目の出発のようだ。まだ真っ暗で風が強い。28年ぶりに来たリスヨッホあたりで明るくなり風もおさまった。快晴で近くのヴァリス・アルプスはもちろん遠くモンブランやグラン・パラディーソまでもよく見える。
 ツムシュタインシュピッツェとジグナールクッペの間のコル・ニフェッティの手前で先行パーティを追い越し、狭く急になった稜線を登って、アルプスの奥の院、ツムシュタインシュピッツェ登頂。おそらくこの日ニフェッティ小屋から登ったパーティでは一番のはずだ。ヨーロッパ・アルプスでは外人に負けない、一番で頂上に着くことにしているが、今回もその通りにできた。目前のモンテ・ローザの主峰デュフールシュピッツェの大岩塊を始め展望は素晴らしい。この後は標高は高いがミニ4000mのピークを順に踏みながら下っていく。

 ツムシュタインシュピッツェ頂上、背景はジグナールクッペとマルゲリ−タ小屋  ジグナールクッペ頂上のマルゲリ−タ小屋


 ジグナールクッペ頂上から、左デュフールシュピッツェ、右ノルトエント


 ジグナールクッペからのマッターホルン


 次のピークはアルプス最高所のマルゲリータ小屋が頂上に建つジグナールクッペ。稜線の東側はアルプス最大のモンテ・ローザ東壁、小屋の中も見物した。ジグナールクッペを下って往路に戻ると、このころから続々と登ってきた。三番目のピークはパロットシュピッツェで頂上は狭く下りはやや急。ルードヴィヒスヘーエとシュヴァルツホルンは以前登っているので横目に過ぎ、四番目はバルメンホルン。山と言うより氷河上に十数m突き出た岩だが。最後五番目はヴァンサン・ピラミッド。これまでのピークより独立性は高く頂上も広い。

 往路に返りニフェッティ小屋で小休止し、プンタ・インドレンに戻ってロープウェイで下山。アラーニャからまた車で4時間走ってザース・フェーに18時ごろ着いた。スイス側からモンテ・ローザ南部のピークへはアプローチの交通は長く費用もかかるが、今回で全部終えることができた。プンタ・ジョルダーニはヴァンサン・ピラミッドの南東稜の小さな肩なので4000m峰には数えない。

[コースタイム]
ニフェッティ小屋3647m 3:50 -> リスヨッホLisjochの東 4200m付近 5:40/5:45 -> ツムシュタインシュピッツェZumsteinspitze 4563m 7:15/7:25-> ジグナールクッペSignalkuppe 4554m 8:00/8:30 -> パロットシュピッツェ Parrotspitze 4432m 9:25/930 -> バルメンホルンBalmenhorn 4167m 10:05/10:15 -> ヴァンサン・ピラミッドVincent Pyramide 4215m 10:47/10:52 -> ニフェッティ小屋 11:35/11:50 -> プンタ・インドレン 13:00

 パロットシュピッツェ
 ヴァンサン・ピラミッド


8月4日(木) 快晴 ノルトエント

 ザース・フェーバスターミナルに5:30時集合なので、ホテルは4:45に朝食を用意してくれた。クルトの車でテッシュへ、鉄道に乗り換えてツェルマット。駅前のビュッフェでコーヒーを飲んでからエア・ツェルマットに行き7:35ごろヘリコプターが出発してまもなくモンテ・ローザのザッテルトーレ4000m付近に着陸。高度の影響は何も感じず、アイゼンを着けアンザイレンして7:50ごろすぐ登り始める。左へトラバース気味に登り、クレバスを越えノルトエントとデュフールシュピッツェの間のジルバーザッテルへのトレースに合流した。ジルバーザッテルからは稜線沿いに登るが右(東側)はモンテ・ローザ東壁なので西側をこちらも急斜面だがトラバース気味に登る。最後は1ピッチの岩登りで途中1ヶ所ランニングビレイポイントがあり、頂上。岩場で狭いが広大で素晴らしいパノラマの展望。

 ノルトエント  ノルトエント頂上

 モンテ・ローザの主峰デュフールシュピッツェ


 往路を戻り、着陸地点に戻ってからヘリコプターを呼ぶこともできたが、それでは楽過ぎるし、お金もかかり過ぎるので歩いて下山した。また下界からゴルナー氷河を渡るモンテ・ローザ小屋への道が昔は難なく通過できたが、氷河の状況が悪くなっている今はどうなのかおおいに関心があった。氷河を延々と下ってモンテ・ローザ小屋。その少し上のモレーンでザイルとアイゼンを外した。モンテ・ローザ小屋で今登ってきたノルトエントを見上げながらビールとピザのうれしいひと時。ゴルナー氷河は昔、私が前回通った28年前より、すごく小さく低くなったように見え、土砂がたくさんのって、非常に無残な印象を受けた。

 モンテ・ローザ小屋からの道は昔と大きく変わっていた。小屋からは2595mの湖の上を通り、氷河ではなく川にかかっている橋を渡り、ゴルナー氷河の上に出るが、氷河の崩壊箇所を避けて真っすぐは行けず、対岸の近くでは氷が露出してクレバスが縦に何本も走る所を横に移らねばならないのでまたアイゼンを着けた。岸へ渡るには、ベルクシュルンドが、昔は数十cmで簡単に飛び越せたのが今はそんな大きさではない。床板だけのおっかない橋を渡った。その後も、氷河が何十mも低くなっているので二段の鉄ばしごを登ったりしてやっと昔の山道に出た。氷河は年に1m程度は解けて低くなっているのだろうか。モンテ・ローザ小屋へのルートが昔と同じではあり得ないとは思っていたが、予想を上回る変わりようだった。以前は単独でも心配なく氷河を渡れたが、今はそれは避けたい。

 リスカム
ゴルナー氷河のおっかない橋


この後1時間ほど歩いてローテンボーデン駅に着いたのは16時近かった。ゴルナーグラート鉄道の案内放送は独仏英日の4ヶ国語だった。「Naechster Halt, Prochain arret, Next stop, 次の駅は Riffelberg.」 ツェルマット、テッシュを経てザース・フェーに18時ごろ着いた。

 ノルトエントに登る人は多くないようだが、アルプスで三番目に高い、つまりモンブラン、デュフールシュピッツェに次ぐピークなので是非登っておきたい山である。4000mまでヘリで行ってしまうのは楽すぎるが、モンテ・ローザ小屋から頂上まで1800mを一度は登っているのだからよしとしよう。今回でモンテ・ローザのピークは全座登頂、アルプス4000m30座登頂となった。

[コースタイム]
モンテ・ローザ ザッテルトーレSatteltole 4000m 7:50 -> ノルトエント Nordend 4609m 9:40/9:45 -> モンテ・ローザ小屋 Monte Rosa Huette 2883m 12:35/13:10 -> ゴルナー氷河右岸のベルクシュルンド 14:40 -> ローテンボーデン Rotenboden 2815m 15:55

8月5日(金) 雨のち曇り

 シチズン・パスを使ってザース・グルントに行きホーザースとクロイツボーデン近辺を散歩。 

8月6日(土) 快晴 フェルスキンからブリタニア小屋

 フェルスキンでロープウェイを降りるとおがくずをかぶせた雪の上がブリタニア小屋へのルートだった。氷河上だがよく踏まれていてクレバスの心配はなさそうだ。エギナーヨッホから先のトラバースは閉鎖されていて、一旦下ってプラッテンからの道と合流し小氷河を渡ってブリタニア小屋へ。小屋の前の鞍部から5分の登りでクライン・アラリンホルン登頂。シュトラールホルンとリンピッシュホルンが絶景である。往路をフェルスキンに戻る。ミシャベル山群が壮大。北方にベルナーオーバーラントが見えるが、アレッチホルンがひときわ大きい。

[コースタイム]
フェルスキン Felskinn 2989m 10:25 -> クライン・アラリンホルン Klien Allalinhorn 3070m 11:55/12:10 -> ブリタニア小屋 Britania Huette 12:15/13:00 -> フェルスキン 14:28

 ブリタニア小屋 左シュトラールホルン、右リンピッシュホルン



8月7日(日)  晴
ザース・グルントからホーザース、ザース・フェーからプラッテンを巡った。

8月8日(月) 晴 ザース・フェー -> ジュネーブ -> 

 出発前にホテルがワインをお土産にくれ、これまで早い朝食の準備等もよくしてくれた。

皆様、是非ザース・フェーを訪れてHotel Carpe Diemに泊まってあげてください。私に聞いたと言えば多分きっとスペシャル・プライスにしてくれるはず。ホテルに泊まればザース谷のバス、ロープウェイはすべてただになります。

Hotel Carpe Diem ホームページ http://hotelcarpediem.ch/de/ , email info@hotelcarpediem.ch , Tel +41 (0)27 957 13 33

ザース・フェーからバスでフィスプ、SBBでジュネーブ空港、カタール航空QR100便で18:00出発、飛行機の窓からモンブラン山群がよく見えた。

モンブランとグランドジョラス



8月9日(火) -> ドーハ -> 羽田 

 ドーハに 00:10着、06:45発のQR812便に乗り換え羽田着22:45、この日は天然温泉平和島に泊まって翌日帰宅した。

カタール航空は羽田〜ジュネーブ往復が夏の盛期でも7万円が魅力、帰国便の羽田着が22:45で遅いが天然温泉平和島に無料で泊まれるので家が遠い人でも問題ない。登山自体に大変費用がかかりまたスイスは物価が高いので経費を抑えるにはエアラインやホテルは最安値を狙うことになる。

人件費の高いスイスで高度のプロフェッショナルである山岳ガイドを雇用すると料金は非常に高い。この二回のモンテ・ローザでガイド料金とチップ、アプローチの交通費、山小屋料金等の一切を含めると登山だけで約40万円になった。アルプスのビッグ・ピークのガイド山行は費用がかかるとはいえ、もう少し抑えたいものである。興味のある方いませんか。
以上 西川 記

 


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