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      Nov 23, 1997
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ラ・ネージュ山スキー記録集III 


  発行日 1989年12月25日

焼石岳                   

東北北部  石淵ダムより三界山、巣郷温泉へ           

                         1989年3月28日〜31日 
                       L:田中健、手塚紀恵子、佐藤晶彦 

3月28日(火) 曇り                             
 当初は、5月連休に計画したのだが、3月末に変更した。少雪の今年には、幸運だった。
 尿前には雪はなく、ツブ沼を越えて、平七橋まで歩く。平七橋の西100mほどの所にわかりにくい林道がある。(帰ってから調べると、平七林道との名がある。)駅では小雨だったが、曇りとなる。プレートは、その小尾根の上に1番があると、手塚さんは以前の経験を話してくれた。
 林道を離れて、小尾根に取り付くと5番のプレートがある。以後は、プレート、赤布が細かく打ってあり、銀明水までは迷うことはない。地図の1001mあたりで夏道と合わさる。小屋はNo.100である。
 小屋で一休みする。春合宿の高校生がいた。ムッとする暖かさだ。小屋はきれいで、設備がよい。お湯をもらって、お茶を飲む。出掛けに、雪を掘った下に出ている名水、銀明水を味わう。高校生達が掘ったという。
 再びシールで登り始める。小屋から上は木が無くなり、ガスが出てきてルートがわかりにくくなる。なだらかな尾根をトラバースして、行き過ぎないようにその尾根を直登した。北に向かって、やや下りになった所でガスが濃くなり、わかりにくいのでそこまでとした。
 西側に、山の裾野が見え隠れする。それを本峰の裾野だと決める。後に混乱を引き起こす。
 夜半中、強風だった。弱まる気配は全く無かった。 

3月29日(水) 強風、ガス 
 強風とガスである。行動は無理そうなので、小屋まで下った。停滞とした。ストーブのある小屋での停滞は安心だ。午前は干し物、午後はまき割り、掃除をした。 
夕方、水沢あたりの街の灯が見えた。好天を期待してシュラーフにもぐった。

3月30日(木) 快晴 
 好天である。はやる心を制しながら出発する。横岳、本峰はガスの中だ。小屋のすぐ前の尾根を登り沼に出た。泉水沼かと考え暫くトラバースをして前日のテント場を確かめた。前日の西斜面を登ってピークに出るが、手塚さんは、焼石の頂上ではない、と言う。ガスの中をピークを北に2つ越えると、瞬間、ガスが切れ、横岳の一番北にいることがわかる。本峰は少し下って登り返す。ひと登りである。下りにしても斜度が適している。
 頂上にいると、陽が射し、ガスが切れる。南の栗駒、西の鳥海、北の牛形、東の経塚山が見える。三界山への尾根筋も確認でき一安心である。
 シールを取り北面を下る。佐藤さんがトップで行く。1492mのピークの手前で沢を下り、三界山へのルートに入る。一滑りだが楽しめた。1304m地点の手前で休止。3本のシュプールが逆光の中で光っている。
 三界山への登りは両側が切れ急である。頂上から東成瀬村の家々が見える。蟻巣山、三森山への様子がわかる。1149mまで200m滑るが平らで快適とは言い難い。しかし、雪が硬いので助かった。
 コルから蟻巣山へ150m登る。蟻巣山の頂上からルートを確かめる。湯田町から成瀬村への林道もよく分かる。エスケープルートに考えていた所だ。
 この頃から天気がよすぎて雪がザクザクになって歩きにくい。100m登って100m滑るというようになる。それを三森山まで三回繰り返した。下りは2〜3分とはいえ、ぶなの大木の間を縫って滑るのは東北の山らしく大満足だ。1082mのピークに出ると、南東方向に焼石連峰が白く光っている。
 三森山では4時になる。ルートを確かめる。佐藤さんが地形をよく見ている。県境に沿って下る。三森山のすぐ東の狭い尾根を外さないほうがよい。930mの少ピークを巻いて北に進む。鬼瀬川の源頭部から湯川温泉に出ようと713mから県境を離れ北に進む。
 西の空が赤い。尾根と沢が入り組んでいて、平らな尾根を下ると沢に当たり、登り返しまた下ると沢に当たる。あきらめて600m付近にツエルトを張った。

3月31日(金) 曇り
 県境尾根を下ることにして、770mまで登り返す。高曇りで雪が硬い。県境を下る。注意する所は西に進路を変える2ヶ所だ。622m地点、582m地点だ。途中で湯川沼などを見る。この尾根は雪が硬かったので滑れたが、午後のザクザク雪ならば歩くことになろう。
 582mを越え西に進むと村が見え出し行きが切れてきた。 あくまで、県境を辿り420m地点で強引に薮の沢に入り林を抜けると田んぼに出た。200m先には巣郷温泉があった。山行の汗を流した。
 停滞を含めルートファインディング、ロングコース、ぶな林共に堪能できた。焼石連峰は山が丸く上部に木が無くスキーに適している。駒ケ岳を越えるルートも楽しそうである。滑降の同志会向きには蟻巣山から林道を下るルートがいいかもしれない。いずれも天候次第だ。
 計画を立てるに当たって水沢山岳会小野寺氏のガイドを参考にした。
 (「岳人」No.453) 


【コースタイム】 

3/28 尿前 7:25/40 −> 取り付き、平七沢 9:00/20 −>  
     銀明水 12:10/50 −> 1460m ツエルト 13:40   

3/29 テント場 8:10 −> 銀明水小屋 8:30 停滞         

3/30 小屋 6:05 −> 横岳ピーク 7:10/25 −> 焼石岳頂上  
     8:15/45 −> 三界山 10:25/45 −> 蟻巣山     
     11:50/12:15 −> 林道峠 12:50 −> 三森山    
     15:35/16:00 −> 713m 17:05/20 −>    
     610m ツエルト 18:15                    

3/31 テント場 5:55 −> 湯川沼 8:20 −> 田んぼ、スキーをとる
     10:00 −> 巣郷温泉 10:15 


                                  (田中記) 

【概念図】
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