Last Update : May 10, 1998

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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

栂海新道                    

北アルプス / 日本海へ                    
                        1981年8月7日〜11日 
               メンバー:CL.田中(道)、SL.針谷、郡司、
                       鈴木(由)、藤原、伊藤(久) 

8月7日(金) 曇り時々雨                        

 日本海で泳ごう…を合い言葉(ちょっと考えたが…?)に蒸し暑い東京を後に21時45
分上野を出発した。                                
 5時24分平岩着。朝食をとり、バスに乗り込む。蓮華温泉手前の風吹大池登山口で下 
車。栂海新道への第一歩が始まる。(下車したのは私達だけだった。)最初から急な上り 
が続き笹目尾根に出る。2〜3日前に雨が降ったとのことで道はかなり荒れている。ここ 
から風吹大池までは、なだらかな所が多く広々と湿原が点在する。今年は、残雪が多かっ 
たのか花も幾分遅れがちである。ミズバショウも所々に見られた。天気が良ければいつま 
でもいたい所である。                               
 分岐を左に下ると風吹大池が木々の間から姿を見せる。その落ち着き払った静けさは何 
とも言えない。近くには、昨年から営業していると言う風吹山荘がある。幕営も出来るよ 
う台が作られデコボコの上に寝ることもない。時間があれば一泊してゆっくり池の周りを 
散策したい所だった。一時的に雨が強くなってきた為、急いで分岐に戻り休止。     
 フスブリ山(1944m)を越え白馬大池に向かう。道は荒れている所が多く薮を掻き 
分けて進む。 乗鞍天狗原に着く頃も天候は良くならず悪くなるばかりであるが、乗鞍岳 
(2437m)までの雪渓を登り白馬大池に着いた。夜行の疲れもある為、今夜は白馬大 
池山荘に泊ることにした。                             

【コースタイム】                             

風吹登山口 7:52 → 風吹小屋 11:03 →            
分岐 11:20/40 → 白馬大池 16:40             

                                  (藤原 記) 


8月8日(土) 雨                            

 やはり雨。風も強いようである。しかし、停滞は覚悟で出発する。稜線に出るとやはり 
飛ばされそうになる。                               
 停滞前線がある為、この状態は続きそうである。雪倉避難小屋で停滞とする。     

【コースタイム】                             

白馬大池 6:00 → 雪倉避難小屋 10:00             

                                  (藤原 記) 


8月9日(日) 晴れ                           

 雨は止んだが、風はまだ強い。朝焼けの空を気にしながら出発。昨日の分を取り戻すの 
だから大変だ。雪倉、朝日、花がいっぱいの稜線を横目でチラチラ見ながら歩く。蓮華温 
泉への道を分け、「これより日本海へ」と言う標識から、いよいよ栂海新道に入る。シラ 
ビソやツガの樹林と湿原が交互に現れる。アヤメ平には、期待のアヤメは2,3本だった 
が、タテヤマリンドウの小さな青が、星のように散りばめられていたし、黒岩平はミズバ 
ショウとリュウキンカの白と黄色が流れの縁を彩っていた。後ろ髪を引かれるような思い 
で先に進む。このコースのハイライトはこれで終り。あとは薮と暑さに耐えるだけ。   
 黒岩山からさわがに山まではむさ苦しく全く辟易した。一ヶ所、慎重に通過して、東西 
に長い犬ヶ岳の山頂に着く。歩いて来た山並みを見ながら、ここまで来ればこっちのもの 
だと思う。ラ・ネージュ用の記念撮影をして、赤い尾根を目指して下る。        

【コースタイム】                             

小屋 5:00 → 赤男山下 6:13/25 →             
小桜ヶ原 6:55/7:00 → 朝日岳 8:36/9:00 →     
長栂山 9:53/10:05 → 黒岩平 10:55/11:30 →   
黒岩平水場 12:00/08 → さわがに山 14:37/15:08 → 
犬ヶ岳 16:45/17:00 → 栂海山荘 17:10         

                               (伊藤(久) 記) 


8月10日(月) 晴れ                          

 今日は待望の日本海へ。早くこんな山を抜けて海につかりたい。一時間ほど下って大休 
止。                                       
 白鳥山を登り、シキワリの下水道の底のような巻き道を過ぎ、金時坂の大下りを下って 
坂田峠に着く。道祖神にここまで無事に来れたことを感謝して、最後の尻高山だ。二本松 
峠の手前で人騒がせなおじさんに出会ってロスタイム。風波川のコースが廃道になった為 
おまけの小さなピークを三つ越えて終わった。もう歩かなくて良いのだ。        
 タクシーで糸魚川の海の真前の民宿へ。夜は浜辺で花火。汐風と、足を洗う波が何とも 
心地よく、さっきまでの山の中の暑さが嘘のようだった。               

【コースタイム】                             

栂池山荘 4:47 → 水場 6:03/7:10 →           
ガレ場 7:55/8:07 → 白鳥山下 8:53/9:05 →     
白鳥山 9:45/10:10 → 坂田峠 12:46 →         
尻高山登り口 13:08/30 → 二本松 15:22 →        
入道山 15:50 → 親不知(日本海) 17:00           

                               (伊藤(久) 記) 



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