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        May 1, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

大常木谷                  

奥秩父 / 一の瀬川
                       1981年7月17日〜18日 
             メンバー:L.菅沼、伊藤(碩)小森宮、高野、針谷、
                         長谷川、今野、鈴木(利) 

7月17日(土) 晴れ

 前夜中に一の瀬林道に入る予定であったが、夜半からの雷雨の為奥多摩駅付近の氷川神社で一夜を明かした。一台の車にピストン輸送をしてもらい、バスの通らない一ノ瀬林道に入ることが出来た。大常木谷下降点に総勢8名が集合し、林道から10分間の急降下で一ノ瀬川に着く。金色の砂を踏みしめながら大常木谷出合いまで戻り、いよいよ溯行開始となる。
 20分ほど平凡な沢歩きをすると、長い核心部に出会う。さいしょの8m滑滝を右から越えると大きな釜を持った8mの五間の滝に阻まれる。大半の人が右側をアンザイレンで登ったが、釜を泳いで直登する人もいた。
 その後、数分と経たないうちに、たっぷりと水をたたえた20mのトロが待ち構えていた。これを見た長谷川氏が何の躊躇もなく水に飛び込んで泳ぎ始めた。不慮の事故以外に沢の中で泳ぐなどと思ってもみなかった為、大変な騒動となった。体にザイルを縛り付け恐る恐る冷たい水の中に入った。ザックのおかげで体が自然に浮くが、水流に逆らっての前進で、体力の消耗も早い。4〜5m間隔で岩につかまって休みながらようやく突破できた。泳いだり、へつったりして皆何とか無事に通過した。昨夜の大雨でかなり増水していたようだ。
 一度濡れてしまえば、水に対する恐怖感も無くなり、以後の溯行は精神的に楽になり、25mの千苦の滝を右から高巻いた以外はほとんど直登できた。足並みが揃っていたので、人数の割りには思ったより早く御岳沢に着いた。そこから会所小屋までは30分位であるが、右岸の沢から離れたところに立地している為わかりにくく、手分けして探した。老朽の激しい小屋に着くと、雨が降り始めた。 

【コースタイム】 
氷川神社 6:00 → 大常木谷下降点 6:55/7:50 →       
大常木谷出合 8:50 → 会所小屋 14:30              


7月18日(日) 晴れ

 起きると、前夜半まで降り続いていた雷雨も止んで晴れ間が覗いている。朝一番の水は冷たいが、すがすがしい。
 一時間近く単調なゴーロ歩きが続いた後、15mの石滝では再び豪快なシャワークライミングでびっしょり濡れるが、快適に登ることができる。ここから15分程のCSでは左壁を越えたが、腕力のない女性陣は苦労した。
 この岩場を越えると源頭部の詰めとなる。ガレ場の終わる頃、ようやく縦走路に出る。帰路は将監小屋を経て、車のある一ノ瀬林道へ下った。 
 大常木谷は深くて暗い感じの沢であるが、適当に楽しめる滝や淵が多く、変化に富んだ溯行を味わうことができた。また、沢の中で一泊することにより余裕もでき、楽しさも倍加した。

【コースタイム】
会所小屋 7:15 → 縦走路 10:30/50 → 将監小屋 11:50/12:15 → 
大常木谷下降点 14:35      


記:鈴木(利)、電子化:作野 


【遡行図】 

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