Last Update :Jul 8, 1999 概念図追加
Apr 26, 1998
戻る


 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

万太郎山                     

上越 / オキイノマチ沢
                              1982年4月11日 
                             メンバー:長谷川 単独 

4月11日(日) 晴れ一時曇り

 前日は荒れ模様の天気だったらしく、土樽駅でも10cmほどの新雪が見られた。群大ヒュッテまではスキーとワカンのトレールがついており、快調なペースで進むことができた。この付近で、新雪の深さは30cmくらいである。吊橋を渡り、その少し上手から沢を渡渉して対岸へ移る。杉林を抜けると、右岸へ渡る丸木橋が架かっていた。細い橋の上には雪がこんもりと被り、恐る恐る渡る。暫く沢沿いに進んだが行き詰まり、左上の台地へ登る。丸木橋を渡った後、すぐに一段高い台地に出るのが正解のようだ。右岸の台地は、最初は杉林が混んでいて歩き辛かったが、デトイノマチ沢辺りからは若木が多くなり、見通しもきいてくる。眼下の毛渡沢本流は、雪融け水がゴーゴーと音を立てて流れている。オキイノマチ沢の手前は、開けた平坦地になっている。昔、法政大の毛渡沢ヒュッテがあった所だろうか。 
 登路を観察した結果、出合いよりオキイノマチ沢をそのままつめることにする。大笹台へ突き上げている右手の沢は、薮が濃く、詰めも相当急になっていてあまり気乗りがしない。沢の中は、所々ブロックの落ちた跡が見られたが、U字状に適当な幅と斜度を持って続いている。右手に大笹台が近づくと、傾斜が急にきつくなる。途中まで電光形に登ったが、雪が硬くなってきたので、スキーを脱ぎアイゼンに替える。そのまま左手の尾根上のところを登ってしまった為、大笹台へ移る機会を失ってしまった。この付近まで登ると、シッケイ沢の全貌が見渡せるようになる。上部は扇状に広がった大斜面で、三の字の頭から直接降りると相当な急斜面となる。今日は、新雪とアイスバーンが斑状になっていて、スキーにはあまりよい状態ではなさそうである。再び沢に出て、クラストした斜面から、一転して吹きだまった雪のラッセルになる。右手に黒い岩峰が近づくと、詰めの急斜面に変わり、アイゼンを一歩一歩けり込んで慎重に登る。長い登りに疲れ果てた頃、やっと万太郎北側の稜線に出た。
 山頂は風が強く、肌寒い。赤谷川源流のスキールートを写真に収め、早々に大笹台へ向け下り始める。沢に入るとアイゼンがダンゴとなり、登りよりも嫌な感じがした。1800m付近でスキーを付ける。右手の斜面はブロックが散乱していて悪いので、東俣の源流沿いに滑る。午後の日に照らされて堅雪も緩み、ちょうどよい雪質になっていた。沢が深くなる手前から、大笹台上部を大きくトラバースし、オキイノマチ沢に戻る。沢の中はあまり快適には滑れず、重い雪に足を取られて何回も転んでしまう。それでもたとえ悪雪でもスキーを使えば楽しいし、不格好なシュプールでも転ばず何回転か出来れば嬉しくなる。出合いに戻って、今までの緊張感からほっと開放された気分になる。毛渡沢の長い下りにはうんざりしながらも、軽い気持ちで下って行くことが出来た。

【コースタイム】
土樽 5:50 → 群大ヒュッテ 7:20 → オキイノマチ沢出合い 10:05/30 → 
万太郎山頂 14:10/20 → スキー滑降開始地点(1800m) 14:35/15:00 →群大ヒュッテ 17:10 → 土樽 18:10


記:長谷川、電子化 作野

【概念図】                                     


戻る
山スキー同志会のホームページへ
メールの宛先:
webmaster@ysd-jp.org