Last Update : Jun 15, 1999 概念図追加
Feb 21, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

未丈ヶ岳                   

会越 / 奥只見丸山へ                         
                          1982年4月23日〜24日 
                                  長谷川 単独 

4月23日(金) 快晴
[三つ又口〜未丈ヶ岳]

 奥只見シルバーラインが8時まで通行止めなのを知らず、朝早く起き出してしまい、小出駅で時間を持て余してしまった。トンネル途中ので口でタクシーを降り、ナキ沢(オソノ沢へ出る。軽快な服装をした熊狩の猟師の姿を見かけた。 先行者の踏み跡を辿り、スノーブリッジを何回か渡って三つ又口につく。猟師の足跡は、水頭沢の方へ向かっていた。
 尾根は雪が消えて夏道が出ていたが、まわりの薮にスキーが引っ掛かって歩きにくい。松ノ木ダオより鞍部へ下り、暫く登り返すとようやく残雪が続くようになった。スキーをザックから外し、引張って歩く。振り返ると、正面には真っ白に残雪を残した越後駒が、その左には屏風のようにピークを連ねた荒沢岳が、堂々とした山容を見せ、目を楽しませてくれる。駒から枝折峠への尾根は、幅もありスキーには良さそうである。荒沢岳の各沢は頂上付近で急にせり上がっていて、スキーで下るのはちょっと難しいような気がする。
 日頃の睡眠不足と久し振りに一泊の荷を背負ったためか、ピッチが上がらず、頻繁に休みをとってしまう。1204mピークより右手の尾根が合わさる付近まで、やや広い雪原になっており、この尾根では唯一スキーが楽しめそうな所だ。痩せた尾根を進み、潅木を避け右より巻くと、広い雪原に出た。未丈ヶ岳の頂上である。谷を隔てて、朝日から駒へ続く南会津の山並みや燧ケ岳の姿が見渡せる毛猛山の後ろには、白く霞んだ浅草だけの姿も見える。初めて見る山々の展望を楽しんだ後、北面のゆるやかな斜面を一滑りしてみた。

【コースタイム】 

ナキ沢トンネル出口 8:25 → 三つ又口 8:55/9:05 → 松ノ木ダオ 10:50/11:10 → 1204mP 12:40/55 → 未丈ヶ岳山頂 14:30


4月24日(土) 快晴
[未丈ヶ岳〜奥只見山]

 日も大分高くなってようやく起き出した。珍しく山の中で十分な休養が取れた感じだ。出発準備をのんびり終えた頃には、雪も程よく緩んでいた。
 頂上より日向倉山へ続く尾根にスキーを走らせる。スキー滑降が十分出来る広さがあるが、所々亀裂が走っていて神経を使う。1376mPへの登りは雪がズタズタに切れていて、薮と残った雪塊の上を交互に登る。ピーク直下にも大きな割れ目が走っていて直接下れず、南側を大きく回り込んで円山への尾根に出る。1288mPより再びスキーを着ける。最初は快適なシュプールを描くことができたが、だんだんと痩せてきて、尾根のすぐ脇を斜滑降・横滑りで下る。 
 1225mPから尾根の東側をトラバースし、小尾根を乗越すと、ゆるやかに起伏した広大な雪原が現れた。丸山スキー上のリフトが間近に見える。振り返ってみる未丈ヶ岳は、左右に白くゆるやかに尾根を伸ばし、端正な姿を見せている。この山は、丸山側から見た方が見栄えがする。リフトを横目に、シールで丸山まで登る。山頂は春スキーを楽しむスキーヤーでいっぱいであった。山行を終わってほっとした気持ちと同時に、静かな一人旅のフィナーレには似つかわしくないような気分がした。

【コースタイム】 

山頂出発 8:35 → 1376mP 9:35/45 → 1288P 10:25/30 → 雪原の入り口 11:20/35 → 丸山 12:10/20 → スキー場下 12:40


記:長谷川、電子化:作野



【概念図】

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