Last Update : Apr 24, 1999 概念図追加
Jan 17, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

八幡平(1)                

東北 / 裏岩手連峰縦走
                            1981年4月4日〜5日 
                              メンバー:菅沼 単独 

4月4日(土)晴れ時々曇り

 前夜上野を急行いわてにて出発する。この電車はいつも空いておりゆっくり寝て行ける。八幡平へは盛岡駅前からバスが出ているのだが、バス代節約の為花輪線の大更駅まで行く。盛岡からのバスは全便大更駅を経由するのでここから乗るとバス代が約半額になる。岩手山の裾を回りながら八幡平スキー場へは約40分位でつく。
 スキー場のリフト3本を乗り継ぎ大黒森へ登る。山頂から西へ少し滑り、恵比須森手前のコルでシールを着ける。八幡平へのコースは切り開きと丸い番号札が10m位毎にありガスの日も安心して登れそうだ。茶臼山荘から右へ曲がり、緩やかな下りが黒谷池湿原まで続いている。シールを外して滑った方が良かったようだ。
 196番付近から登りになり源太森に着く。ここはもう広く平らな八幡平の一角だ。陵雲荘も良く見える。八幡平の湿原の上を一息で陵雲荘に到着する。この陵雲荘は八幡平の西端に建っている。よく手入れされており非常に使いやすい山小屋だ。トイレも小屋のなかにある。壁にはスノーボートがかかっており電話もある。登山者名簿を眺めていたら元会員の藤谷氏の名前があり驚いた。
 時間が早いので八幡平の頂上へ登る。頂上は300番になっており、秋田側からも同様の標識があるらしい。1623.6m、ここが今山行の最高地点だ。シールを外し軽いウオーミングアップを兼ねて一滑り小屋へ戻る。
今日は土曜日なのに宿泊者は他になく静かな一夜を過ごす。

【コースタイム】
八幡平スキー場 10:45 → 大黒森(シール取り付け)11:05/30 → 茶臼山荘 12:10 → 黒谷池 12:25/35 → 陵雲荘 13:30


4月5日(日)快晴

 朝おきて外を見ると快晴なので驚いた。あわてて出発の準備をする。小屋を出発し少し登ると見返峠だ。
 いよいよ裏岩手連峰縦走路へ第一歩を踏み出す。昨日のシュプールの後がまだのこっており滑りづらい。左手すぐ下に藤七温泉が見える。藤七温泉へ下る車道を左に見送りコルに出る。この辺りは風が強いらしく地面が見える。コルからはこんもりとした畚岳を目指して登る。昨日先行したパーティがちょうど出発する所だ。
 山頂へは登らず畚岳の肩でシールを外し、今日最初の滑降を行う。雪が硬く締まっており快適に滑る。しかし滑るのは5分弱でスキーを楽しむには程遠い。コルからはシールを着け諸桧岳へ向かう。諸桧岳も平らな山でどこが山頂なのか良く分からない。ガスったときのルートファインディングは相当難しそうだ。今日は視界が良いのでシールを外し1438mの池のところまで滑る。同様に1481mへ登り5分ほど滑る。嶮岨森直下は尾根が狭く少し急な為スキーを引いて登る。
 ここまで来ると八幡平も大分遠くなり、大深岳が間近に見える。大休止を取り展望を楽しむ。秋田駒ヶ岳は真白だ。その右手には去年滑った鳥海山が端正な三角形に聳えている。大深岳から続いている八瀬森、曲崎山への稜線は地形が相当複雑らしく目で追う事ができない。また標高も低い為か稜線には木がたくさん見える。
 嶮岨森からはシールを着けたまま大深山荘へ下る。左手は急に落ちているが右手は広く平らだ。大深山荘も良さそうな小屋だ。山荘からは広い斜面を大深岳へ登る。山頂から見た岩手山はなかなか立派な山だ。シールを外し靴の紐を締め直して小畚山手前のコルまで標高差約200mの滑降だ。稜線を少し滑り、1450m辺りから主稜と分かれ三ツ石山方面の尾根に滑り込む。
 今日は滑りを楽しんでいないので思い切り滑る。しかし、雪が少し重くコル手前の傾斜が緩くなるところで前にのめり大転倒してしまった。コルでシールを着け小畚山は左側を巻き気味に登る。続く1448mも左側を巻く。この辺りの稜線は笹が出ている。山頂に大きな石がある三ツ石山手前辺りも平らだ。三石山に着くとすぐ下に三ツ石山荘が見える。
 ここから尾根は右手の方へ下っているが左寄りの斜面を小屋を目指して滑る。右によると小さな雪庇の上に出てしまう。雪庇を避けて小屋の前まで滑り込む。この小屋も奇麗な山小屋だ。今日の予定はここまでだが時間が早いので今日のうちに下山することにした。
 山荘からは標識がある。大松倉山から網張温泉まで標高差約600m最後の滑降だ。気を引き締めて滑り出す。途中からゲレンデに入り、極端に滑り易くなった斜面を思い切りとばす。
網張温泉で一風呂浴び、雫石、盛岡を経て帰京した。

【コースタイム】
陵雲荘 6:30 → 見返峠下 7:05 → 畚岳肩 7:30/35 → コル 7:40/45 → 諸桧岳 8:10/15 → コル 8:20/25 → 1481m 8:45/50 → 
コル 8:55/9:00 → 嶮岨森 9:20/40 → 大深山荘 10:15/35 → 
大深岳 11:05/15 → 小畚山手前コル 11:30/50 → 
三ツ石山 12:55/13:05 → 三ツ石山荘 13:10/30 → 
大松倉山 14:10/15 → 網張スキー場下 14:40


記:菅沼、電子化:作野


【概念図】

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