Last Update : Apr 16, 1999 概念図追加
      Jan 15, 1998
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 ラ・ネージュ記録集II 

  発行日 1982年10月1日 
  発行人 山スキー同志会    
  編集人 斎藤 進、川口敏博 他

朝里岳                  

北海道 / 白井岳へ                      
                               1982年1月3日 
                     メンバー:(L鈴木(清))、鈴木(利) 

1982年1月3日(日)晴れ後曇り 

 ニセイカウシュッペ山の帰りに、念願だった札幌周辺の山へ行った。朝里岳から白井岳へ縦走する計画で、前日ヘルベチアヒュッテに泊った。
 札幌国際スキー場のスカイキャビンが8:30から始動するので、一時間前に小屋を出た。30分程でスキー場につき、不要な荷物を預けた後、混雑の為輸送時間を早めたスカイキャビンで一気に標高差500mを稼いだ。
 雑踏から逃れたく、早速シールを着けて歩き始めた。ほんの数歩進んだだけで、もう誰からも干渉されない別世界となる。陽光が純白の雪に反射して眩しい。緩くて広い奇麗な樺の樹氷の中を適度なラッセルをしながら登って行った。山頂に近づくにつれて、傾斜もなくなってくると太陽が隠れるようになり、朝里岳山頂と思われる高みについた時には、すっかりガスに覆われ、風も強くなってきた。
 この辺りは飛行場と呼ばれる広い台地上の地形で、視界が利かない時には注意を要するところであるが、地図とコンパスを頼りに前進することにした。進路は白井岳へ続く細い尾根を目指し、南から後東南東に取った。台地の外れの急斜面に出ると、一瞬晴れて白井岳方面が浮かび上がった。すると、そこは幸運にも目標地点から数メートルしか離れていない北寄りの場所だった。
 シールを取り、やせた尾根を100m程コルへ向かって滑り降りた。雪は思ったより重く、脚力を要する滑りであったが、楽しむことが出来た。白井岳側に出ると再び太陽が顔を出し、かえりみるシュプールがくっきりと浮かんでいた。
 コルからシール登高し、白井岳には割と楽につくことが出来た。余市三山のうち二山に登れたので、残る余市岳はせめて目に収めようと思っていたが、西面だけ視界が利かず、遂に見ることが出来なかった。この辺の山は天候が悪いことで有名らしく、特にお正月に来て一度で登れたのは幸運だといわれた。視界は良くなかったが吹雪に見舞われることもなく、総合的に天候には恵まれたようだ。
 白井岳山頂からは、最初から沢まで下りてしまうと後が大変なので、初めのうち真北に滑り、途中から右岸をトラバース気味に下りるのが良いらしい。最後の滑降を多いに楽しもうと勇んで滑り始めると、一見ふかふかの新雪であるが、ウインドクラストして全く曲がれない。悪戦苦闘の末、とうとう締め具の金具を解放にして歩いて下ることになってしまった。ここも数年前の春に来た時は快適だったそうだ。
 ルートだけは全くロスがなく、スキー場の下のゲレンデにぴったりと出てきた。朝、スキー場を出てから人との出合いのない静かな山旅だっただけに、この過密スキー場を一刻も早く抜け出し、札幌行のバスに乗り込んだ。

【コースタイム】 
ヘルベチアヒュッテ 7:35 → 札幌国際スキー場 8:05/25 → スキー場上 8:35/50 → 朝里岳 10:00 → P1260m下降点 10:50 → 白井岳 12:00/15 → スキー場 13:30

記:鈴木利、電子化:作野


【概念図】

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